菅首相が「河野さんを支持する」とわざわざ述べた理由

16日にBS日テレのニュース番組に出演した前東京都知事の舛添要一氏は、野田氏の立候補表明にからんで「無派閥で推薦人20人集めるのは至難の業。それにもかかわらず、野田さんは候補者になれた。1回目の投票で河野さんに決まるのを防ぎ、決選投票で岸田さんを勝たせるために調整した長老がいる」と話していた。おそらくその通りだろう。

また17日には菅首相が河野氏の支持を表明した。菅首相は「国難の中で大きな成果を上げてくれた。コロナ対策は継続が極めて大事だ。そうしたことを考えて、河野さんを支持する」と述べた。

安倍氏がいち早く高市氏の支持を表明しているのに対して、わざわざ「河野さんを支持する」と述べたのは強烈なメッセージだ。この発言が河野氏にプラスとなるかは微妙だろう。菅氏の求心力が落ちているからだ。しかし、もし河野氏が総裁選で勝つことがあれば、非常に重い意味を持つことになる。一連の「菅降ろし」にかかわった政治家は逆襲されることになるだろう。

今年に入って自民党の国会議員は4人も有罪に

9月18日付の朝日新聞の社説は「総裁選告示『負の遺産』にけじめを」との見出しを掲げ、「直面する諸課題への処方箋を競うのはもちろんだが、9年近く続いた安倍・菅政権の功罪を総括し、『負の遺産』にけじめをつけることが、国民の信頼回復には欠かせない」と主張する。

朝日社説の指摘する負の遺産とは何か。

朝日社説は後半で「公文書の改ざんという前代未聞の不祥事であるにもかかわらず、真相解明が不十分で、政治家は誰も責任をとらなかった森友問題への対応は試金石といえる。きのうの共同会見では、野田氏が再調査を認める一方、河野氏は否定、岸田氏は後ろ向き。高市氏は裁判中を理由にコメントを避けた」と書き、こう訴える。

「4氏とも安倍、菅両政権で閣僚や党の要職を歴任した。その責任を自覚するなら、負の遺産も直視し、その清算に指導力を発揮すべきだ」

安倍・菅政権の罪である負の遺産は公文書の改竄問題のほかに、森友・加計学園の「モリカケ」疑惑や不透明な「桜を見る会」の問題もある。政治とカネの問題では、今年に入って有罪判決を受けた自民党の国会議員は4人もいる。参院選で地元議員に現金を配った河井克行・元法相は実刑判決を受けて控訴し、菅原一秀・前経済産業相は選挙違反で罰金刑が確定した。吉川貴盛・元農相も収賄罪で裁判中だ。