人事の現場で活用されるアルゴリズム予測

実際に人事の現場ではアルゴリズム予測が広く活用されている。列挙すると以下のとおりだ。

①エントリーシートを読み込んで合否を判定する
②応募者の「自己PR動画」を分析し、コミュニケーション能力などの評価を合否に使う
③学生に対する調査結果や選考結果などを分析し、会社でのパフォーマンス発揮の可能性を予測する
④従業員の行動・業績などを分析し、報酬決定などの人事評価を診断する
⑤日報・日誌などを分析し、従業員の離職可能性を判定する
⑥勤怠記録を分析し、メンタルヘルス不調者を予測する

ESを読み込み、合否を判定する①で使われている代表的なものがIBMのAI・ワトソン(Watson)だ。こうした選考手法はソフトバンクをはじめ多くの企業で実施されている。過去の合格・不合格のESをワトソンに学習させたうえで、学生が提出したESを会社が求める人物像の要件に合っているかどうかを基準に判定する。ただし、アルゴリズムがどのデータを選択し、どう判断しているのかについてはブラックボックスになっている。もちろんこれで採用が決まるわけでもなく、あくまでも面接選考者を絞り込むための手段とされている。

上位1割は面接なしで合格を出す

一方、②は、あらかじめ設定された質問に学生が回答する様子を撮影した動画を機械学習のアルゴリズムを使って分析し、対話能力や思考力などを点数で評価するものだ。ソフトバンクや日立製作所など大手企業で使用されている。

ユニ・チャームも2022年4月入社の新卒採用で導入すると報じられている。同社は2021年1月に実施したインターンシップで試験導入し、100点満点の上位1割については実際の面接なしに合格を出したという。採用選考では審査時間の軽減を図るためにAIの評価を参考にする。