芸人として炎上も覚悟で突き抜けたい

かつては著名人とコンタクトを取るにはファンレターなどの「手間暇」「手順」をかけて先方に届けたものです。

それを一気に距離を縮めてくれたのがSNSです。便利さと同時に面倒くささも増幅してしまったのであります。いまや雲の上の人などいません。誰もが同じ地平線上にいる世の中でもあるのです。芸人側もライブの予告などを直に発信もできますし、エゴサーチ(自分の名前を検索する)などをして自分の評判もチェックできるのです。発信者と受信者との壁をなくしたという意味では画期的ですが、誹謗中傷や罵詈雑言も直に受け入れざるを得なくなり、結果として女子プロレスラーの木村花さんが自殺してしまうなど、痛ましいことを引き起こす元にすらなっています。

では、芸人はどのような生き方をすればよいのでしょうか?

談春・志らくという尊敬する両兄弟子がいます。共に同世代で、いまや落語界を牽引するお二人でもあります。

立川 談慶『花は咲けども 噺せども 神様がくれた高座』(PHP文芸文庫)
立川 談慶『花は咲けども 噺せども 神様がくれた高座』(PHP文芸文庫)

この二人が芸風もさることながらSNSに対して、とても対照的であります。志らく兄さんはツイッターを始め積極的にSNSに取り組んで発信しています。そして、その代償ともいうべき面倒くさい相手とも向き合っています。かたや、談春兄さんは一切のSNSでの発信はしていません。

まったくシンメトリーなお二人ですが、共通するものが実はあります。それは「覚悟」です。

両者ともにそれを徹底しているような感じがします。やるならやるで炎上覚悟か、やらないならやらないで全く無視するか。並大抵ではないですし、だからこそ根底にそれがあるから今の地位に到達したのではと推察しています。

「覚悟」。これは芸人のみならず、いや、SNSに限らずすべてにおいて問われることなのかもしれません。

談志由来の「覚悟」を、談志亡き後、このお二人から学び、追いつけ追い越せの日々であります。

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