観察する時に見るべきポイント
子どもと一緒にいる時に注意すべきポイントは次の4つです。
(1)親の顔を見なくなる
子どもは震災や事故、いじめなどでストレスにさらされ、精神的につらくなると、親に心配かけたくないという思いから、親の顔を見なくなります。親からすると、急に子どもと視線が合わなくなります。元気がなく、ずっと下を向いてうつむいていたり、テーブルで向かい合わせに座っていても、どこかぼんやりして親と視線を合わせなくなったり。こういった変化には注意が必要です。
(2)注意力が散漫になる
大きなストレスを抱えると、子どもは注意力が散漫になって、忘れ物や失くしものが増えます。教科書やノートなど、学校に持っていくものを忘れることもありますし、学校から渡されるプリントを親に渡しそびれることも多くなります。プリントを渡されない、渡されても締め切りが過ぎているものだった、といったことが増えてきたら気をつけましょう。また、これまでのように宿題ができなくなることもあります。指示された宿題を間違えたり、期日までにできないことが目立つようになったら、注意が必要です。
(3)元気がなくなる
子どもは本来、いろいろなものに興味があって、触ってはいけないものすら触ってしまうほど元気いっぱいのはずですが、ストレスがあると、そういった活動性がなくなって、家でじっとしていることが多くなります。おそらく動くとしんどいので、無意識にエネルギーを使わないようにしているのでしょうね。
(4)ぐっすり眠れなくなる
たいていの子どもは、夜ぐっすり眠れるものですが、ストレスがたまると、きちんと眠れなくなります。夜遅くまで目がさえて寝つけないパターンもありますし、夜中に急に飛び起きてしまうパターンもあります。子どもがきちんと眠れているかどうか、注意して見ておくようにしましょう。
家を「安全・安心な場所」にする
こうした子どもの変化を感じとったとき、親はどうすればいいのでしょうか。まずしてほしいのは、子どもに家庭を「安全・安心な場所」と認識させることです。
そもそも子どもがそこまでストレスをため込むのは、学校でうまくいかないことがあることも含めて、「社会から切り離されている」という不安があるからです。コロナ禍で、学校に行けない、友だちと会えない、塾や習いごとも休み、となると社会とのつながりが薄くなり、コミュニティは家の中だけになってしまいます。
ですから、その「家」を、子どもにとって安全・安心な場所として機能させることが、親の大事な役目になります。
子どもにとって家を安全・安心な場所にするためには、親が子どもを「承認」することが大切です。親が子どもを承認せず、家が子どもの存在を否定する場所になってしまったら、子どもは居場所がなくなってしまい、ストレスや不安が増大してしまいます。