※本稿は、小川大介『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)の一部を再編集したものです。
「NGワード」=誤解が生まれる言葉
親を何年かやっていたら誰しも「あの言い方はまずかったな」という体験はお持ちでしょう。子どものむくれた表情を見て、「言い方、間違えた」とか「傷つけてしまった」と後悔することはよくあると思います。
ですが、そもそも「言わなきゃ」「声をかけなきゃ」と思ったというスタート地点には、間違いなくお子さんへの愛情があり、そういう親御さんの気持ちというのは常に正解なのです。このことはどうぞ忘れずにいてくださいね。
ただ、その気持ちをどういう言葉で伝えるかという点においては、やはり上手・下手があります。
うまくない伝え方とは、親が伝えたい気持ちと、子どもが受け取ったメッセージがずれてしまう伝え方です。つまり、誤解が生まれる言葉がいわゆる「NGワード」ということになります。
ここでのNGワードというのは「使ってはいけない言葉」ではなく、「子どもに誤解されやすい言い回し」のこと。
逆に、親の気持ちがそのまま子どもに伝わる言葉がOKワードです。
ここからは、その誤解を生みやすい「NGワード」の代表格を見ていきましょう。
「早く」と言われると、しぶしぶ動くようになる
子どものやる気を失わせる親のセリフ①親が時間に追われているとき
「早くしなさい!」
「時間だよ!」
OKワード
「あとどれくらいで終わりそう?」
「あとどれくらいで始めるの?」
今の時代は親御さんたちも日々時間に追われていますから、使ってしまう気持ちはよくわかります。予定が狂ったらあとの調整も大変ですから、どうしても急がせたくなってしまいますよね。
NGワードのような言葉が出るシーンというのは、子ども自身は次にすべきことに気持ちが向いていなかったり、ほかのことに気をとられたりしているときです。
そのときに、ただ「早く」と急き立てて無理やり行動させると、本人は不完全燃焼です。始める前から「嫌だな」という気持ちになり、しぶしぶ動くくせがついてしまうので、できれば使わずに済ませたい言葉です。
こうなる前に、まだ余裕がある段階で「あとどれくらいで終われそう?(始めるの?)」と、本人の予定を聞いておきます。そのうえで時間が迫ってきたら「まず靴下をはこうか」など、何か1つ行動させる言葉がけをします。最初の一歩が一番腰が重くなるので、そこをクリアさせることで、行動する流れを作るのです。やるべきことが半分くらい終わったら「急ぐよ」といった言い方で仕上げさせたらよいでしょう。