子供の力が伸びやすいのはどんな環境か。教育家の小川大介さんは「立派な子供は立派な親のもとに育つというのは幻想だ。親に少々欠点があるくらいのほうが、子供は伸びやすい」という――。

※本稿は、小川大介『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)の一部を再編集したものです。

女子高生
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

自信がなく、不安を抱えている親はたくさんいる

頑張り屋さんな親御さんほど、「子どもにちゃんとさせなくちゃ!」「親としてちゃんとしなきゃ!」と思ってしまうもの。

この章では、親御さんたちが「ちゃんとしなきゃ」と思ってしまうことを卒業する「ちゃん卒」子育てについてお話をしていきます。

まずは、親御さんたちの不安を解消し、自信を持って子育てに向き合っていただけるよう、次の2つのテーマを軸にしたお話をしていきたいと思います。

①「今の自分にOKを出す」=「ありのままの自分を認める」
②「私が頑張らなくては」と一人で抱え込まない

言葉がけをテーマにした本で、わざわざ親の話に1つの章を割く理由は、ご自身で気づいている・いないはともかく、それだけ自信がなく、不安を抱えている親御さんがたくさんいらっしゃるからです。

親御さんが子どもとうまく関われずに衝突していたり、情報に振り回されて疲弊していたりするのは、多くが親御さんの自信のなさから来ていると感じています。

親御さんが自分に自信を持つというのは、幸せな子育てをするための土台です。そこが揺らいでいると、いくら言葉がけのコツを学んだところで、その効果が十分に発揮されません。この章を通じて、「『完璧な親』になろうとしなくていい」ということに気づいていただけたら幸いです。

「立派な子どもは立派な親の下に育つ」は幻想

第4章の最後で、親御さんが自信を持つことの大切さをお話ししましたが、親子のよい関わりのためには、親御さんが等身大の自分に自信を持つことが大事です。

ここで最初にお伝えしたいのは、立派な子どもが育つのは、立派な親の下という幻想を捨てましょう、ということです。親は少々欠点があるくらいのほうが子どもが伸びやすいと、経験から感じています。

これはなぜかと言うと、親が完璧だと、家の中に隙がなくなるからです。

たとえば家はいつもきれいに整えられていて、洗濯物にはアイロンがかけられ、ピシッとたたまれている。食事の時間には栄養バランスのいい手作りのおかずが何品も並ぶ。もちろん仕事もバリバリしているうえ、いつも笑顔で子どもの話をよく聞き、勉強を見てやり、空いた時間には自分のスキルアップのための勉強を欠かさない……。

こんなご両親は、一見素晴らしいように見えるかもしれませんが、子どもにしてみれば「こうならねばならない」というプレッシャーを押し付けてくる息苦しい人たちでもあります。常に「こうあるべき」という「正解」が示されているので、本人が自分で考えて意思決定をする余地がありません。

親の側も、自分たちが頑張っているわけですから、子どもにも同じように頑張ることを求めてしまいます。その結果、子どもの自信が育ちにくくなってしまうのです。