ぐだぐだしている父親は「勉強しろ」とは言えない

逆に、家の中に隙があれば、子どもは自分の頭で考える余地が生まれます。

家族
写真=iStock.com/dima_sidelnikov
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たとえば、仕事はきちんとしているものの、毎日飲んで帰ってきて家でぐだぐだしている父親がいたとしましょう。

ぐだぐだしながら息子に「今日は何してた?」と聞いて、息子が「ドラマ見てた」と答えたら、その父親は「ああ、そうか」となるわけです。自分はぐだぐだしているのに、息子に「ドラマなんて見てないで勉強しろ」とは言えませんからね。

この父親が息子に「やることやったのか?」と聞けば、息子はこんな隙だらけの父親に対し「お父さんのほうこそどうなの?」などと言い返すこともできるわけです。

ちなみにこれはわが家の日常です(※コロナ前の話です)。自己弁護ではありませんが、親に隙があると、家の中で「正解」ばかりを示されないので、判断力が育ちやすくなると私は思います。

「いい親」を目指せば目指すほど負のサイクルに陥る

家の中を「正解」だらけにしないためには、親御さん自身が、「今の自分はダメだ」という気持ちを捨てることです。

いわゆる「いい親」を目指そうとすると、次のような負のサイクルに陥ってしまうことがあります。

「いい親」を目指そう!
→「今の自分がダメだ」と思う
→「正解」らしきものを取り入れて、よりよい親になろうと頑張る
→子どもにも「正解」を求めたくなる
→子どもへの押しつけが起こり、話を聞けなくなる
→子どもを理解できなくなる……

「今のままではダメだ」と思いがちな親御さんは、100のうちすでに90できているのに、それよりも、うまくいかない10のほうを問題視してしまう傾向があるようです。

そんな頑張り屋の親御さんは自分が「変わらなきゃ」と思えば思うほど、無意識のうちに子どものことも変えようとしてしまいがちです。

でも、子どもを変えようとすれば衝突が起こりますし、仮にそれがうまくいったとしても、それはその子の本来の姿ではありません。

自分らしさを無理やりねじ曲げられると、その子が本来持っている“よさ”が伸びませんし、自信を持つことも難しくなってしまいます。

だからこそ、親自身が「色々足りない部分もあるけれど、今の自分でいいよね」というマインドを持つことがとても大切なのです。