※本稿は、小川大介『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)の一部を再編集したものです。
言ってもすぐに取りかからない子ども
子どもの事情
聞く姿勢になっておらず、覚えられない。
OKワード
「今言ったこと、いくつあった?」
子どもの事情から言うと、「また言われてるな」くらいの気持ちで覚えようとしていないのだと思います。聞く姿勢ができていないため、印象に残っているほうだけしかやらないのです。
ではどうしたらいいかと言うと、1つには細かいステップで確認することです。
「プリントを鞄にしまって鉛筆を片付けてね」と言ったときに、「はーい」と返事があったら、そこですかさず、「今言ったこと、いくつあった?」と聞いてみましょう。
子「えーっと、2つ」
親「何と何かな?」
子「鉛筆しまう」
親「もう1つあったよね?」
これで出てこなかったら、「もう1回だけ言うから、きちんと覚えてね」と言い、聞く姿勢を作らせてあげます。
このように段階を踏むと徐々に、今やることが何かを自分で整理し、実行できるようになっていきます。
子どもが聞けるくらいに「指示の数」を減らす
「親の話を聞かない、聞いてもすぐ忘れてしまう」というご相談はよくありますが、聞く姿勢を作るにはまず、親があれこれ言う回数を減らすことです。
1日の中であれしなさい、これしなさいと親が指示をする回数が多いと、子どもはバランスを取るために適当に間引きしてしまいます。たまに言われる程度なら聞く耳を持つと思いますが、「あれやって、次それやって、これもやって……」と矢継ぎ早に言われたら、全部は聞けませんよね。
大人はつい、思いつくままにあれもこれもと指示を出してしまいますが、そうすると余計に子どもに届かなくなってしまうのです。
「忙しいし、一気にまとめて言ってしまいたい」と思うお気持ちはわかります。ただ、ワーッと一度にたくさん指示を出されても、子どもは情報を整理できません。
ですから、まずは子どもが「聞こう」と思えるくらいの回数に指示を減らします。子どもの表情に気を配って、顔をしかめたり、表情が曇ったりしたら、「あ、これぐらいが回数の上限だな」と判断するといいでしょう。
指示を減らした分、親が伝えるときは、きちんと聞くことを求めて構わないと思います。
子どもがきちんと聞いて実行できたら「さすが、ちゃんと聞いてできてるね」とほめてあげる。そこまでの一連の動作をセットにするとよいでしょう。