「プロセス」と「存在」で子どもを承認
では、「子どもを承認する」とは具体的にどうすればいいのでしょうか。ポイントは大きく2つです。
一つ目は「プロセスの承認」です。子どもは、今突然つらい気持ちを抱えるようなったわけではありません。ずっと前から大変だったのに、親に気づかれないように隠しつつ、ごまかしつつやってきたのです。
ですから親は「よく頑張ってきたね」「気づかなくてごめんね」と、子どもが大変な思いを抱えていたこれまでのプロセスをしっかりと承認してあげるのです。そうすると子どもは、「親は自分をちゃんと見てくれているんだ」と安心します。
もう一つは「存在の承認」です。「○○ちゃんがいるだけで、お母さんは助かるよ」「○○ちゃんがいてくれて、ありがとう」と本人の存在そのものを承認する言葉がけをするのです。
直接言うのが恥ずかしいときは、「○○ちゃん、おはよう」「○○ちゃん、これ食べる?」と名前を呼んで挨拶したり、声掛けしたりするだけもいいでしょう。
小さなことのように思えるかもしれませんが、こうした積み重ねが重要です。ぜひ親御さんには、こうした2つの「承認」を日ごろから意識してほしいと思います。
学校に行きしぶったらどうするか
それでも子どもが「学校に行きたくない」と言い出したら、どうしたらよいでしょうか。
まずは休ませることです。無理に学校に行かせてはいけません。子どもが「行きたくないけど、頑張って行こうかな」と言っても、それを止めるくらいの方がいいと言ってもいいぐらいです。
親はつい「そう言わずに頑張って行ったら?」と言いたくなってしまうでしょうが、これは絶対にNGです。
たとえば、会社の同僚が心身の不調を訴えて、「会社に行きたくない」と言い出したら「ちょっと休んだら」と言うのではないでしょうか。多分、「そう言わずに頑張って行ったら」とは言わない。それが自分の子どものことになると、とにかく学校に行くように勧めてしまいます。
子どもも大人も、心身が疲れてしまうことはあります。そして疲れたときは、無理をするのではなく、しっかり休まないと回復できません。
ですから子どもが親に「学校に行きたくない」と言ったら、「正直に言ってくれてありがとう」と応えましょう。怒ったり、急かしたりすると、子どもは親に対してSOSを出さなくなります。深刻な状態に陥って初めて気付くということにもなりかねません。子どもが早いタイミングでどんどんSOSを出せる環境をつくることが大切です。
子どもが学校を休んだ場合も、勉強させたり、規則正しい生活をさせるたりと、何かを強いるのは良くありません。子どもが好きなようにのんびり過ごして充電し、心の中のモヤモヤがなくなって「学校に行こうかな」と思えるようになるのを待つ。待つというのは本当に難しく、つい発破をかけたくなりますが、そこはしっかり待ちましょう。