結果は三国とも膨大な数の消費者が多様な製品分野で製品イノベーションを行っていることを示していた。全体に占める割合で言うと英国では6.1%、米国、日本ではそれぞれ5.2%、3.7%の消費者が製品イノベーションを行っていた。
人数で言えば、英国で290万人、米国で1170万人、日本で390万人の消費者イノベーターが存在することを示唆するものだ。日本だけに限ってもその数は会社で係長・主任として働く人の数とほぼ同じだ。彼(彼女)らは、職場で特別な存在というわけではない。消費者イノベーターが珍しい存在でないことが、そこからもわかる。
投下額は米国2兆円、日本6000億円
同調査では実際に回答者が行った製品創造や改良を具体的に記入してもらった。そのうちのいくつかを紹介しよう。
例えば、誰でも自分にとってなくしたくない大切なものがあるだろう。記念写真や形見、指輪、お気に入りの音楽が入ったハードディスク、なんでもよい。そんな大切なものが家のどこかにはあるけれど、どこにあるかはわからない。そんな人は多いのではないだろうか。米国のある消費者はそうした自分にとって大切なもの、すぐに置き場所を知りたいものにICタグをつけ、GPSを使い瞬時に見つけ出せるシステムを作っていた。
また、同じ米国で、ウェブカメラを家の玄関ドア正面に装着し、来客者があった場合、自室のパソコンで応対するシステムを構築している人もいた。日本の消費者イノベーターの例も紹介すると、電子レンジでごはんを美味しく炊くための料理器具を製作している人がいた。どの事例も自分のニーズを満たすものが市場に見当たらず消費者が独自開発したものだ。