まさに集中力の申し子、稲見萌寧である。稲見の最大の武器は正確なショットと言うが、実はそのショットを生み出す集中力にある。集中力を高いレベルで発揮でき、ゾーンにまで入れるからこそ、難しいアプローチも寄せることができ、大事なパットも決められるのだ。
疲れていては集中しようにもできない
そしてもう一つ、稲見の武器は体力である。1日10時間も練習することはよいショットを生み出すだけでなく、体力を強化していた。毎朝4時半から河川敷のゴルフコースを18ホール周り、学校から戻ったら再び日没までコースを回ったり練習場でボールを打ったりを繰り返す。今はこうしたオフの練習に加え、筋力強化のトレーニングも行っている。
今年1月から始めたのがキックボクシングを採り入れたトレーニング。稲見のハイキックは見事なものだ。キックボクシングでも何かしらの大会で勝てそうなくらい。このトレーニングは女子ツアーが始まってからも欠かさない。
試合翌日の月曜にはジムに通っている。こうした体力強化が酷暑の中で実施されたオリンピックでも、疲れをまったく見せずに戦えたことが銀メダルに繋がっている。集中力も体力が伴っていなければ発揮できない。疲れていては集中しようにもできないからだ。
もしも集中力がなくて仕事が思うようにできないと言っている人がいるとしたら、稲見のように体力を強化し、仕事の段取りを整え、目の前の仕事に没頭すること。普段からダラダラとすごしているのに、「集中力が続かない」と愚痴るのは都合がよすぎるということだ。