「TBS辞めてからのほうが金はあるんですけど」

【角田】されたことは、事実として消えてないから。「こいつの家がどうやればなくなるか」って、若い頃なら本当に仕掛けてた気がする。今は、正直めんどくさくなったところもあるけど、それでも「あいつは僕にこんな悪いことをしたんだから神様はきっと許さないだろうし、何年後かに家がなくなるようなことになるに違いない」ってマイルドに思い続けてる(笑)。

なんでそんなことを言っているかというと、事実として、それがモチベーションになっているところはちょっとあるんだ。「TBS辞めてから貧乏してるんだろうな」って思ってるようなやつに対して、実際のところはどうであれ「TBS辞めてからのほうが金はあるんですけど」って言ってやりたくなるぐらいの人間の小ささが僕にはあってさ。ややこしいんだけど、そういう人間の小ささが僕は好きなんだよね(笑)。

【加藤】わはは。

【角田】みんな、聖人君子にはなれないじゃんか。なのに聖人君子になろうとするように教えるところに、教育の間違いがあるんじゃないかと思っててさ。悪いことも教えるのが教育だと思うんだよね。

好き嫌いの感情は誰もが持ってしまうもの

例えば、「明智光秀がなぜ織田信長を殺したのか」って、いろいろそれらしい理由を挙げるけど、信長が嫌いだったんだよ、単純に。だってなんか理由があっても、嫌いじゃなきゃ殺さないでしょ。だから本質的には、とにかく嫌いだったんだよ。それがたまたま「あいつは少人数で本能寺に泊まっているから、やるなら今だ」って気持ちになったからやっちゃった。嫌いじゃなきゃやらないよ。

だから、好き嫌いが表面化して何かを実行するかは置いといて、その思い自体は誰もが持ってしまうものだし、消えないんじゃないかなと思う。それを無理に消そうとすることもないんじゃないかな。

それで本当に殺していいのかっていうと、ダメだよ。捕まっちゃうし、人間としてやってはいけないことだから。それが判断できる“ethical” というか、倫理的な抑制力がちゃんと自分の中にあるんだったら、何を思っててもいいんじゃないかなって思ってるのさ。

【加藤】全員と仲良くはできないからねえ。