社外での活動を記した「2枚目の名刺」を作っている人がいる。バラエティプロデューサーの角田陽一郎さんは「『名刺とかくだらない』という人もいるが、それこそレベルが低い。自分を売り込みたいなら、絶対に作ったほうがいい」という。角田さんと作家の加藤昌治さんの対談を収録したた『仕事人生あんちょこ辞典』(KKベストセラーズ)より一部をお届けする――。
名刺交換の日本人ビジネスマンのクローズアップ
※写真はイメージです。(写真=iStock.com/kazuma seki)

名刺は情報ではなく態度を見せるもの

朝活に参加したら、みんな会社じゃない名刺を持っていて、焦りました。SNSもそれなりにやってるし、やっぱり自分名刺って作るべきですか?

【角田】「名刺なんていらない」みたいな話があるじゃん。僕は反対で、名刺くれない人を基本信用しない。なおかつ、いちばん信用しないのは「名刺切らしてまして」っていう奴。

無常観の話でいうと「おめーと会うのはこれで最後かもしれねーのに、なに名刺切らして俺の前に現れてんだコラ」みたいな。それで「後でメールしますから」って言ってメールもしないやつとかいるじゃん。三カ月後くらいに要件があって来ても、僕はシカトするね。そういう気持ちを見るのに大事なものが名刺だと思ってるから。

「効用」で名刺をいるいらないみたいな、「名刺とかくだらない」と言ってるのを見て、レベル低いなって思う。その人の「態度」を見せるものなんだよ、名刺って。

【加藤】情報じゃなくて。

【角田】そうそう。情報はFacebookで友達になればいいし、ネットで検索すればいいんだ。「私はあなたと会うことをこれだけ大事にしてます」ってことを提示するのが名刺。一方で、タレントさんは名刺持ってない。だからタレントさんに名刺渡す人は、「この人はタレントさんと仕事したことがないんだな」ってことがバレるわけ。

名刺を持っていない人にむかつく原動

タレントさんは名刺持ってないっていうのは、タレントさんは「タレント」だから、名刺を持たなくていいんですよ。逆にいえば、今の「名刺の文化」みたいな話をした上で、「さあ、名刺がなくてもいい」って人は、つまりタレントなんですよ。「タレントでもねえのに名刺持ってねえのかコラ」っていうのが、名刺を持ってない人への僕のむかつきの一番の原動。「おまえタレントかぶれか。タレントでもねえのに『名刺ない』とか言ってんじゃねえよ」って、本気でそう思う。

――売り出し中のまだ知名度ないタレントさんも持ってないんですか。

【角田】持ってないよ。基本的にはマネージャーさんが配るものなの。そういう暗黙のルールってのがあってさ。

アーティストがCDを出すと、本人から相手に渡さないといけないんだよ。例えばサカナクションがニューアルバム出して、そのニューアルバムをボーカルの山口一郎さんが配る時とかは、マネージャーさんが自分のカバンから出して本人が持って、本人が渡すんだよね。「さんまさんこれ」って。で、これをマネージャーさんが渡すのが時々いるんですよ。「ああもう、分かってないんだなこの事務所は」って僕はもう分かる。

つまり、タレントって多分人間じゃないんだろうね。人間界同士は名刺の交換をしないとダメなんだけど、タレントってのは神様なのかな。もっと下に言えば商品。商品自体が名刺を渡しちゃダメなんだよ。ということをなんとなく感じてる。