名刺は自分を売る企画書
この感覚がないのは、逆にいうといいことでもあるんだ。その感覚のない実直な人なら、「その感覚をコンサルすればコンサル料もらえるんだな」と思うわけ。つまり、それがちゃんとできてる人って「僕が介入する余地ないじゃん」とも、ちょっと思うわけよ。僕なんかよりはるかにデザインに詳しい人がブレーンにいる、そういう構成要素みたいなのを把握できるからさ。その人本人なのか、その人の部下にいるのか。つまり周りに、仲間にそういう人がいることが名刺で分かる。
だから一番アレなのは、そういうことができてないのにグラフィックデザインとかをやってる、つまりデザイン力がないのに、ないってことがバレてるホームページを作ってるデザイン事務所ってダメじゃん。
【加藤】企画書に近いな。
【角田】そう。名刺は自分を売る企画書ってことじゃん。
【加藤】よく、「企画書とは読み物であり見物である」って云ってるんですよ。正確には、企画書を含めたビジネス文書はすべからく読み物であり見物であるって。先に「読み物」、やっぱり原稿が大事で、原稿ができた上でそれをどう見せるかが「見物」。そこまで気が配れたら最高。自分のことは棚の最上段に上げて云いますが。
名刺は「読み物」であり「見せ物」
【角田】「読み物と見物」ってあらゆることがそうで、マンガなんかも本当はそうじゃん。「話はいいんだけど絵がな」みたいなのもあるし、「絵はすげえんだけど、やっぱり読み物として弱いよな」みたいなのあるもん。やっぱり両輪だと思うけど、ただ映画とかもほら、「俳優が大事なのか監督が大事なのか」とか言うけど、やっぱり「脚本が一番大事なんじゃないか」って言うよね。それがあった上での、演出をどうやるかとかになる。
名刺だってそうなんじゃない。まず「読み物として何が必要か」で、それをどう最適化して「見物・見せ物」にするか?
【加藤】名刺はうまくいかなかったら作り直したっていいんだもんね。
【角田】そうそう。三〇〇〇円くらいで作れちゃうじゃん。それでも「それがなくてもいい」ってのは、企画書がなくてもあなたの企画が通る人は、名刺なくてもいいよ。自分がスタスタスタって出てって、その名前だけで仕事が来ますって言う人だったら、名刺いらないんじゃない? それがつまりタレントなんじゃないかと。
タレントじゃないのに「名刺ない」って言ってる人は、つまり企画書がないわけじゃん。じゃああなたの企画は一生通らないよ。そういうことじゃないですかね。なんかまとまった気がします。