ログリーとドワンゴは薬機法違反の疑いがある広告を見逃していた

プレジデントオンライン編集部は、ニコニコニュースに掲載されていた薬機法違反の疑いがある広告について、消費者庁が開催している「アフィリエイト広告等に関する検討会」の委員である池本誠司弁護士に問い合わせた。池本弁護士は編集部が提示した広告について「いずれも薬機法違反の疑いがある」との見解だった。

この見解を受けて、ログリーとニコニコニュースの運営会社であるドワンゴに対し、「薬機法違反の疑いがある広告が掲載されていることを認識しているか。認識している場合、具体的な対策を講じる予定があるか。」という2点について問い合わせたところ、2社から回答があった。

回答の全文については本稿の末尾に記載するが、2社とも薬機法違反の疑いがある広告を把握していなかったことを認め、今後は適切に対処していくと回答した。

事業者だけが儲かり、一般消費者が損をしている

ニコニコニュースを運営するドワンゴにとって、ニコニコニュースに貼っている広告による売り上げは、おそらくささいな金額だろう。だから、ニコニコニュースに表示されているログリーの広告については、騒ぐほどのことでもないのかもしれない。

ただ、もしささいな金額ならば、その薬機法違反の疑いがある広告を剝がすことは簡単なはずだ。ドワンゴは、その簡単なはずの決断ができていない。

また、レコメンドウィジェットを運営する会社は上場企業も多い。上場企業には、当然ながら社長以外の株主がおり、その会社から利益を得ることを期待している。それらの株主も、気づかぬうちに違法の疑いがある行為に手を貸していることになる。

使い古された言葉だが、WIN-WINという言葉がある。双方にメリットがある取引のことを指す。これに倣って、違法の疑いがある広告で商品が売れた場合のWINとLOSEを並べてみよう。

・メーカー、広告事業者(アドアフィリエイター・広告代理店)
WIN。商品が売れれば儲かる。違法の疑いがある広告は訴求力が高いので販売数は多くなる。法律を守るよりも儲かる。
・レコメンドウィジェット運営会社、一部のウェブメディア
WIN。広告枠が売れれば儲かる。違法の疑いがある広告は広告枠の単価が高いので、法律を守るよりも儲かる。
・一般消費者
LOSE。品質の低いものを買って損をする。
・遵法意識の高い事業者
LOSE。違法の疑いがある広告による広告枠単価高騰のせいで広告を出せず、事業が成り立たない。

結局のところ、グレーな行為をしている事業者だけが儲かり、一般消費者が損をしている。また、遵法意識の高い事業者も、事業ができずに損をしている。