組織の習熟度合いを表す5つの分類
さらに対話的思考は、一対一の人間関係を良好なものにするのみならず、多くの人数が関わる組織づくりをするうえでも有効な手段となります。対話的思考を企業文化として養成することで、居心地がよく、生産性も高い組織づくりを推進することができるのです。
対話的思考を共同で行えるチームとは、「問い」によってお互いに「気付き」を与え合う人間関係です。否定文や命令によって相手を一方的に抑圧するチームから、疑問文や提案によって相手と共に思考できるチームへと環境をアップデートすることで、組織としての発達段階を引き上げることができます。
組織論の名著Reinventing Organizations(邦題:『ティール組織』)を書いたフレデリック・ラルーは、組織の発達段階を次の5つに分けました。下から、「レッド(衝動型)組織」「アンバー(順応型)組織」「オレンジ(達成型)組織」「グリーン(多元型)組織」、そして「ティール(進化型)組織」で、上に行けば行くほど組織が成熟していることを表しています。
それぞれのイメージとして、レッド組織=狼の群れ、アンバー組織=軍隊、オレンジ組織=機械、グリーン組織=家族、ティール組織=生命体という比喩が用いられています。「機械」のイメージは「目標達成に向けて最も効率的な選択のみを行う」という側面を、そして「家族」のイメージは、「一人ひとりのチームメンバーを尊重するが、誰かが明確な指導者であるという古典的なピラミッド組織の構図を保持している」という側面を表しています。
ラルーは最も理想的な組織形態がティール組織であると述べていますが、日本の大多数の企業や学校は、いまだに年功序列の組織体制や上意下達の意思決定の方式が保持されがちという側面において、アンバー組織ないしオレンジ組織の段階にとどまってしまっています。いわゆる「ブラック企業」問題や「ブラック部活」問題が頻発している状況を見るに、日本においては、最も発達段階の低いレッド組織としての性格さえ多く残されてしまっていると言えます。
ティール組織を達成できている企業とは、「ホラクラシー経営」(ピラミッド構造を取らないフラットな組織形態)を実践されているダイヤモンドメディア(現・UPDATA)さんや、さんや、「有給取り放題」「給料は自分で決める」「全員がCEO」といった組織づくりをされているゆめみさんのような企業であると言えるでしょう。