2020年、アメリカ海軍大学校などが「台湾有事が起きれば、米国は中国に負ける」というシミュレーションを発表した。なぜそんな屈辱的な結果を公表したのか。戦略国際問題研究所上級顧問のエドワード・ルトワックさんは「それは議会に対して艦船の購入を説得するためだ。実際には中国海軍の力は想定よりも弱く、台湾有事はアメリカの原子力潜水艦が3隻あれば解決できる」という――。

※本稿は、エドワード・ルトワック著、奥山真司訳『ラストエンペラー習近平』(文春新書)の一部を再編集したものです。

2021年4月23日に中国・海南島で行われた初の強襲揚陸艦の就役式に出席した習近平国家主席
写真=時事通信フォト
2021年4月23日に中国・海南島で行われた初の強襲揚陸艦の就役式に出席した習近平国家主席

中国は本当に「世界一の海軍」を保有しているのか

2020年9月にアメリカ国防総省は「中国の軍事力についての年次報告書」を公開し、中国の海軍力はアメリカを凌駕りょうがし、「世界最大の海軍を保有している」と発表している。