※本稿は、小西利行『プレゼン思考』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
「問い続けること」が、成功への近道
「安易なゴール」を避け、目指すべき「本質的なゴール」を設定するには、どう考えればいいのでしょうか?
この答えのひとつとして、本書では、「本当にその未来に生きていたいか?」と問い続ける方法をお話ししています。まさに、良質な「問い」を生むことが、本質的なゴールへの近道だからです。
たとえば、スタートアップ企業ではとにかく「つくりながら問う」ことで安易なゴールに縛られないようにしています。机上の議論に終始せず、研究し、つくり、検証し、失敗し、悩み、壊し、またつくる。それを繰り返すことで、最初は見えなかった「本質的なゴール」を探るわけです。
ちなみに、最近よく耳にする「デザイン思考」も概ねこのスタイルを指します。観察、課題設定、プロトタイピング、検証を繰り返すことで、本質的なゴールに向けた開発を、「つくりながら」していくからです。
ただし、デザイン思考はなかなか扱いが難しく、うまく成果が出せない企業も多いと言われています。おそらくその理由は、観察や検証から導く「課題設定」がうまくできず、結果的に間違ったゴールへ向けたプロトタイピングを繰り返し、疲弊してしまうからだと思います。
そこで僕は、難しいと言われる「正しい(本質的な)課題設定」と「目指すべきゴール設定」の両方を、よりカンタンに行う思考法を考え出しました。
その思考法が、「そもそも思考」です。
結論を急がず「そもそもさあ……」から始める
当たり前を疑い、目先の答えにしがみつかず、たとえ結論に近づいたと思っても、「そもそもさあ……」と問いを続け、あえて、ふりだしに戻ってみる思考法です。僕は、本質的な問いを生む様々な「思考法」を試し、この「そもそも思考」に行き着きました。
そしてそれから25年もの間、実際に多くの仕事で使い、多くのCMや商品開発、さらに、プレミアムフライデーやホテル開発など、評価の高い実績をいくつもあげることができました。
先ほど、良質な「問い」を生むことが大切だと話しましたが、その方法こそが、この「そもそも思考」です。「そもそもこの商品がなぜあるのか?」「そもそもなぜ売れてないのか?」「そもそもこの解決策で良いのか?」と考えるだけで、安易なゴールへの呪縛を抜け、良質な問いが続けられます。
正直、周りの関係者にはちょっと邪魔くさい思考法ですが(笑)、結論を急ぎたくなる気持ちを抑え「そもそも思考」をすれば、視野が広くなり、より本質的なゴールが見つかるようになります。