※本稿は、小西利行『プレゼン思考』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
「ムズカシクする人はアホ。カンタンにする人が天才」
プレゼンの基本とは何でしょう?
それは人の心を動かすことです。そして、そのためには難しいことをカンタンにして話したり、相手が興味を持つように話すことが必要です。
思いが相手に届き、共感されるプレゼンができれば、ビジネスも人生もうまくいきます。そのプレゼンの核にあるのが、「人の心を動かす」というシンプルな目的なのです。
僕は、プレゼンが苦手だった若い頃、その目的を意識するだけで、相手が共感する提案ができるようになりました。そして、そのときに生まれた僕の指針が、「伝える」より「伝わる」。
自分は伝えたから後は知らない、という責任逃れをやめ、相手にしっかりと伝わるまで諦めずに提案をする、という意識改革が、すべてを変えたのです。
ちなみにその頃から、僕は、「ムズカシクする人はアホ。カンタンにする人が天才」だと思うようになりました。世の中には難しい言葉や難解なロジックを使って「頭が良いように見せる」人もいますが、本当は、難しいことを誰もがわかるカンタンな内容にするほうが、頭の良いことだし、数百倍は困難だと思います。
たくさんの人を幸せにするために
でも、僕はその困難なほうへ向かうようにしたのです。なぜなら、そうすることで、たくさんの人に買ってもらい、たくさんの人に愛してもらい、そしてたくさんの人を幸せにすることができるからです。
商品や思いをより多くの人に共感してもらうためには、まず、より多くの人に伝わることが大切です。そして、そのためにはカンタンであることが必須です。だから僕は、難しい話をカンタンにして、誰もが共感できることを目指すのです。
難解なことの面白さや、不可解なことの楽しさもわかったうえで、それでも、できるだけカンタンに、わかりやすく、興味がわくように書き換える。それが僕のやり方であり、本書のベースになっている考え方です。
ちなみに、僕が徹底してそこにこだわるのは、それこそが、プレゼンの本質だと思っているからです。僕がプレゼンで目指すのは、提案内容が相手に深く伝わり、その人たちが「自分ごと」として考えるきっかけとなり、さらに周りの人に話したくなること。
そのためには、カンタンでわかりやすいことが必須というわけです。そしてその意識は、これからの時代にとても大切なことだと思うのです。