僕は、すべてのプレゼンが、いわば「不相思不相愛」から始まると思っています。そして興味がないことを興味があることへ逆転するのがプレゼンの本質だとも思っています。だからこそ、自分から歩み寄り、相手に伝わるように努力すべきなのです。
「いやいや、相手も歩み寄るべきだ」という人もいると思いますが、プレゼンの成功を相手任せにしないためにも、まずはあなたから行動すべきだと思います。
そもそも相手は聞いていないという前提
相手に歩み寄るためには、「相手は聞いていない」という前提から考え始めることが大切です。残念ながら、「プレゼンを聞いてもらえている」と思うのは幻想です。
たとえ出席者全員がうなずいていても、本当にあなたの話を聞いているとは限りません。興味のない話だと思ったらうなずきながらスルーするでしょうし、「今日の夜ご飯、何食べようかな?」と別のことを考えている人もいるでしょう。
リモート会議では、画面に向かって相槌を打ちながら、違うメールに返信しているなんてザラ。それらはもちろん聞いていないのと同じことです。聞いていなければ共感もされず、もちろん合意もされません。
だから大切なのは、聞いていない人に聞いてもらうことです。なんだか禅問答のようですが、つまり、「相手は聞いていない」というスタンスを持って、聞いてもらうにはどうするかを考えることが「伝わるプレゼン」の第一歩になるのです。
プレゼンは相手があるものです。だから「プレゼンは水ものだ」と言う人もいます。でもその考えは絶対に間違いだと僕は思います。相手が決めることであっても「絶対に成功させる」という思いこそが、あなたのプレゼンを変えます。
「聞いてもらえる」という姿勢は、プレゼンの成否を相手に委ねています。逆に、聞いてもらえないという前提で「絶対聞きたくなるプレゼンにする」という発想は、プレゼンの成否をあなた側に引き寄せるのです。
聞きたくなるように変換する努力を
では聞く気がない相手が、聞くようになるにはどうすればいいか?
その答えは簡単です。「相手が聞きたくなるように、話せばいい」のです。
「なあんだ、本当に簡単ですね!」と思った人は……あまりいませんよね? そうです。理屈は簡単ですが、かなり難しいことです。そもそも相手が聞きたくなることが何なのかわからないし、本当に相手のために提案するなら、相手の耳が痛くなることも話さなきゃならない。
それをすべて「相手が聞きたくなるように」するなんて、本当に難問だと思います。でも、そうした難問があることを理解することからすべては始まります。
そして、相手が聞きたいことも聞きたくないことも、聞きたくなるように変換する努力を始めれば、誰にとってもカンタンで聞きやすく、納得できるプレゼンができます。それだけでも、あなたの提案は通り始め、ビジネスは飛躍的に成功へと進み始めるでしょう。