最高の提案のための「究極の型」を覚えよう
さて、最後に必勝方程式の3つの中身を詳しく説明しつつ、誰もが「その通りやれば良いプレゼンができる」、必勝方程式の「究極の9項目」をお話ししましょう。
究極といっても、中身は実にカンタン。本稿の最初に話した、「いまこうですが→こうなりましょう→この方法で」を細分化して深めるだけです。「究極の9項目」は、提案時のひな形でもあるし、考えるための指針にもなりますので、一度見ながらプレゼンをつくってみてください。
なお、ビジョンやコンセプトなどの用語は、本書で詳述しているので、ここではさらっと見てください。ではさっそく、話を進めましょう。
まずは、プレゼンの最初に必要な「課題パート」から。「課題」を抽出するには、プレゼン相手(クライアントや自社、所属するプロジェクトなど)の過去から現在までに蓄積している問題を洗い出し、そこから「解決すべき課題」を抽出することが必要です。
「課題」の中には、①社内課題に加え、②社会課題(SDGsのような、社会的に課題とされていること)があり、また、③本質課題があります。
「本質課題」とは、与えられた課題や顕在化している表層的な課題ではなく、その名の通り、「本当に解決すべき課題」のこと。①や②の課題を踏まえて発見すべきもので、提案においても重要なポイントになります。
本質課題は、カンタンに言えば、「実は○○がほしい」「実は○○が解決したい」に当てはまるような「発見」を伴う課題だと考えてください。これからの時代においては、アイデアの発見よりもこの「本質課題」の設定が重要になると思いますので、ぜひ、覚えておいてください。
次に「未来」パートですが、これは「目指すべきこと」です。プレゼンの相手が「将来こうなりたい!」「これならワクワクする」と共感できる未来のイメージとも言えます。
「未来」の中には、④隠れニーズ(誰もが共感するがまだカタチになっていないニーズ/本書の第4章で詳しく解説)と、⑤ビジョン(社員や世の中の人々がワクワクして、強く共感できる未来/中・長期の目標)、さらに、⑥プロジェクトゴール(ビジョンに行き着くまでに到達すべき、いくつかの関所/短・中期の目標)があります。
最後に「実現案」ですが、これは文字通り、課題を解決し、未来を実現するための方法です。世の中や社内の状況を踏まえ、どうやれば本当に実現できるかを考えた「実現可能案」とも言えます。実現案には、⑦コンセプト(中・長期の考え方・戦略)と⑧アクションプラン(実施策)があります。
また、最後にそのすべてを推進するための人員の配置やチームビルディングを含めた、⑨実行スキーム(計画を実行する枠組み、人員の配置)が必要となります。
以上の究極の9項目が揃ったプレゼンは、説得力が高くなり、最高のプレゼンに近づきます。また先ほど、必勝方程式があると「考えやすくなる」と話しましたが、この9つのテーマに則して考えると、ノールールで考えるよりも、はるかに考えやすくなると思います。
この9つをそれぞれに考え、設定していけば、自動的にプレゼンは成立するわけです。
図表3には、必勝方程式の図に「究極の9項目」を加えておきましたので参考にしてください。これをイメージしながら、先ほどの「究極の9項目」を見てみると、さらにわかりやすくなるでしょう。もちろん、この9項目に忠実にプレゼンしても良いですし、自分流にアレンジしてもかまいません。
いずれにせよ、この図に書かれていることを踏まえていれば、これまでよりもはるかにしっかりとした、シンプルなロジックのプレゼンができるようになります。