価格を上げてでも「もっとうまい」ものを出したかった

【寿司リーマン】さて、スシローは1皿100円から食べられるというのが大きな魅力ですが、気づけば150円皿や300円皿を手に取ってしまいます。なぜ100円以外の商品が誕生したのでしょうか。

スシロー店内
撮影=加藤慶

【堀江社長】将来、原価は上がっていくと思われます。人件費も上がっていくでしょう。そこに対しての対策として、100円皿の他に、かつて180円、280円というプライシングを行いました。顧客単価を上げたいという目的ではありません。100円でできることをある程度やり尽くした時に「世の中にあるもっとうまいネタを提供したいけど100円じゃ出せないから、次の皿を用意したい」という思いで始めました。

【寿司リーマン】中途半端なものを100円で出すなら、価格を上げてでも「もっとうまい」ものを出すことにこだわっていらっしゃるんですね。

「感動皿」というネーミングに込めた決意

【堀江社長】そうは言っても、100円皿しか召し上がらないお客さまも一定数いらっしゃいます。絶対決めているのは、100円の定番メニューのクオリティーは死守すること。店舗巡回をする時に私が重要視しているポイントは、100円皿のクオリティーです。レーンを流れている定番商品を実際に食べて、味にブレがないか確認しています。100円皿のクオリティーは絶対に落としません。

【寿司リーマン】今では100円皿以外に、150円の「お値うち皿」と300円の「感動皿」がありますよね。

ふわとろ煮穴子一本にぎり(300円)。※商品はなくなり次第終了となります。また、一部店舗では品目・価格が異なります。
写真提供=スシロー
ふわとろ煮穴子一本にぎり(300円)。※商品はなくなり次第終了となります。また、一部店舗では品目・価格が異なります。

【堀江社長】それぞれ「お値うち皿」「感動皿」という名前をつけた理由は、スタッフに自戒の念を込めさせるという意味もあります。感動皿を提供するからには、感動するネタじゃなきゃダメ。徹底的にうまさにこだわって、「300円だけど、うまかったから満足!」とお客さまに思ってもらえるようなクオリティーを目指しています。

【寿司リーマン】「お値うち皿」「感動皿」とネーミングをすることで、お店のスタッフさんも手を抜けなくなりますね。

【堀江社長】ネタが崩れたりした写真がネット上に投稿されていたことが以前ありました。それを見て私は営業部長たちを集めて、これが感動皿だとわかっているかと伝えました。感動皿というネーミングをしたことによって社内を引き締める、という効果もありますね。