すしロボットが握るシャリの「密度」や「高さ」まで微調整

【堀江社長】米と酢を合わせるタイミングが店舗によって違っていたんです。米が炊けてからすぐに酢を混ぜ合わせるのがうまいシャリの基本です。でも、作業効率の追求や店が忙しいことを理由に、その時間がブレてしまっていました。

また、スシローでは、「炊いてから4時間以内のシャリがうまい」としています。作業効率だけを考えたら、朝にまとめて一気に炊いてしまう方がラクですよね。でも、うまさにこだわるスシローは手を抜きません。

スシロー店内
撮影=加藤慶

【寿司リーマン】酢を合わせるタイミングや、炊いてからの時間へのこだわりもしっかりあるんですね。他にもシャリへのこだわりはありますか。

【堀江社長】「人肌」にこだわっています。スシローでは、基本的にタッチパネルで注文されたすしは35~36℃の人肌のシャリで出す、ということを指示しています。人肌温度のシャリで食べた時と、冷たいシャリで食べた時では、うまさが格段に違います。スタッフにも実際に食べ比べをしてもらって、人肌のシャリのうまさを感じてもらう。そうやって、「どうすればうまいシャリを提供できるか」に向き合っています。

スシローのシャリは、すしロボットが握ります。炊き立てのシャリと3時間たったシャリは“顔”が変わってくる。時間に合わせてすしロボットが握るシャリの「密度」と「高さ」を微調整しています。シャリひとつとっても、味が何万通りにも変わってくる。ここがすしの面白いところです。

【寿司リーマン】シャリひとつとっても、そこまで細部までこだわっているとは驚きです。堀江社長のすし愛をひしひしと感じます。

商品プレゼンでは堀江社長が大きな権限を持っている

【寿司リーマン】スシローでは、定番商品も新メニューも、経営層で試食をしてGOサインを出しますよね。

【堀江社長】はい。でも、役員全員が味のジャッジをするプロフェッショナルかというと、そうではありません。最終的にはFOOD & LIFE COMPANIES CEOの水留浩一と私がジャッジをしています。多数決で決めているわけでもありません。もし水留がNOと言っても、私がYESと判断すれば商品化することもあります。

【寿司リーマン】そうなんですか!?

【堀江社長】経営のジャッジは水留にはかないませんが、味のジャッジには自信があります。

【寿司リーマン】スシローにとって、堀江社長の味覚力は会社を左右すると言っても過言ではないですよね。その感度はどうやって磨いていらっしゃるんですか。