※本稿はキャブヘイ『準備はリュック1つ! 日本一身軽なキャブヘイのソロキャンプ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
“取り込み中”や“離席中”の日常があってもいい
家族で楽しむキャンプとは目的が全く異なるのが「ソロキャンプ」。誰にも邪魔されず、自分だけの時間を自由に使える。日の出とともに起きて、自然に身を任せて寝る。なんのしがらみもない、完璧な自由時間である。
SNSが発達した世の中になって、常に他人と関わっているのが通常となっている。メールがきたり、既読がついたらすぐに返信し、SNSでは一日中タイムラインを張って、いいね! の数で価値を判断したりしてしまう。だが、“取り込み中”や“離席中”があってもいいはずだ。他人軸から一旦離れて、自分の本能に素直に向き合えるのがソロキャンプである。
好きな音楽を聴いて、焚き火を眺めながら飲むビール、いつでもテントに帰って寝ていいし、行儀悪くご飯を食べたって許される、そんな贅沢な時間を味わえるのがソロキャンプである。
リュック1つの身軽な1泊ソロキャンプに必要なもの
キャンプでハードルが高いのが道具の準備だ。だがやみくもに道具をそろえるのはハードルが高いし、不足を楽しめるのもキャンプの醍醐味と言える。ここでは1泊を前提とした、20リットルのコンパクトなビジネスリュックに収まる最低限の道具を紹介する。焚き火台、タープ、テント、ポール類、ナイフ、アルミホイル、ウォーターボトル、まな板・包丁、クッカー、ランタン、メスティン・シングルバーナー、ランタン、チェア、寝袋、エアマットなど。
最近は100円均一ショップにもキャンプ用品がそろっている
とにかくかさばるテントと寝袋はコンパクトに収納できるものを選ぶ。
テントは設営が簡単でポリエステル性の軽いもの。ドームタイプのテントはポールを2本入れるだけで張れるから簡単。テント設営の時間が早ければ早いほどキャンプの時間を楽しむことができる。雨風に耐えられないものもあるから注意しよう。
寝袋は非常に重要。「ナンガ」の「ミニマリズム180」の寝袋は小さく収納できる。使用温度も0℃までだから真冬以外は対応。永久保証もついているから安心して使える。
焚火台は超薄型の「ピコグリル」。多くのキャンパーが使っている。
最近では100円均一ショップで、インスタントコンロやメスティン、固形燃料や五徳などキャンプ用品が多数そろっているのでチェックして欲しい。
焚き火は最高の癒やし
ノルウェーで8時間流しっぱなしの「焚き火番組」が視聴率20%を取って、それを見た赤ん坊が泣き止むとまで言われている。見るたびに形を変え、パチパチと小気味いい音を立てる焚き火を見ていると不思議と浄化された気持ちになる。火というものは神秘的でずっと眺めていられるし、「焚き火しにキャンプしに行く」と言ってもいいくらい楽しめるイベントである。焚き火のルールはあるので、各キャンプ場でのルールに従って行おう。
前の人の足跡をなぞるようなキャンプは退屈で野暮
以前こんな実験をやってみた。
これまで全くキャンプをやったことのない知人に、身ひとつだけ用意してくれれば、あとはこっちでキャンプ場に連れていくし、道具も用意する。何から何まで手取り足取りレクチャーする、っていうものだ。結果その人に「キャンプどうだった?」って聞くと返ってきた言葉は、「多分楽しいんだろうけど……。山に連れてこられてよくわからんまま終わった……」。
その知人には本当に申し訳なかったけど、改めて自分も、「キャンプの何が楽しいんだっけ」って再確認するいい機会だった。自分で道具を選んで、目的地を決めて、自力で山での一夜を過ごす。そんな“能動的なアクティビティ”が楽しいんだと。だから、俺と同じことをしたりだとか、前の人の足跡をなぞるようなキャンプはしないでほしい。
攻略本通りにゲームをプレイすることほど、退屈で野暮なことはない。