知日派だが支持層を意識して発言が過激に

李洛淵氏の知人はこう解説する。

「知日派と知られる李洛淵氏は大統領選候補になるまで、左派内ではバランスの良い発言をする人物として知られていました。現在、発言を過激化させているのは『岩盤支持層』の支持を取り付けるための“方法”なのだと思います。

李洛淵氏は東亜日報政治部記者時代に、慰安婦問題におけるアジア女性基金の支援活動について丁寧に紹介する記事を書くなど、慰安婦問題では日本バッシング一辺倒だった韓国メディア人としては一線を画す存在でした。

日本駐在経験もあり日本語も堪能。日韓関係についても『お互いの国の政治家が相手国を理解することが重要。その意味では韓国社会を理解してくれる森喜朗氏を私は信頼している』と語っていたこともあります。全羅南道知事をしていた時代には日本の地方自治を熱心に研究しており、高知県と姉妹都市協定を結び、日本都市との空路開設に尽力するなど地方外交を重視していました。彼の本音は『日韓友好』にあると私は思っています」

つまり李洛淵氏の本質は反日ではなく、対日政策については必ずしも文在寅政権路線を踏襲するとは限らない、というのだ。そこで今後の焦点となりそうなのが、文氏を支持してきた『岩盤支持層』と反日を好む韓国メディアや世論と、李洛淵氏がどう向き合っていくのか。与党の左派候補としての立場もあり難しい舵取りが求められることになる。

韓国・ソウルの商店街
写真=iStock.com/pius99
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“反日パフォーマンス優先主義”が日韓関係を悪化させた

与党・「共に民主党」は党内選挙を9月4日から始め、10月には最終的な大統領選候補を決定すると公表している。まずは与党内候補の2強、李在明氏と李洛淵氏がどのような言論バトルを繰り広げるのかに注目である。

日韓関係を悪化させてきた大きな要因の1つが、韓国政治家の“反日パフォーマンス優先主義”にある。その視点に基づいて各候補者を分析していくと、ポピュリストを自称し過激発言で支持を集める李在明氏が、日本サイドとしては一番警戒すべき大統領候補者だと言えるだろう。

同じ与党候補者でも、李洛淵氏は政治家としては知日派ということもあり関係改善を期待したいところだが、懸念は前述したように左派支持層との兼ね合いか。野党候補である尹錫悦氏のスタンスは基本的に現実路線なので、より穏健な日韓関係を模索していくであろうことが予想される。

次期大統領に誰が選出されるかによって日韓関係は大きな影響を受けることになる。

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