アウトプットの質を上げるには、何が必要なのか。『半歩先を読む思考法』(新潮社)を出した筑波大学准教授の落合陽一さんは「ひとりで抱え込んで悩んでも、ろくなことがない。考えをいったんアウトプットして、世の中と壁打ちをしたほうがいい」という――。(後編/全2回)
落合陽一さん近影
写真=宮﨑健太郎撮影
落合陽一さん

考えをアウトプットする大切さ

――新刊『半歩先を読む思考法』は、2019年1月から約2年間、ウェブ上に書き続けた文章をまとめたものですが、日々、考えを「書く」ことで、何か感じたことはありましたか。

考えることはもちろん大切ですけど、アウトプットしたものを誰かに見せて考えてもらうのもけっこう大切だなって思いました。

自分の脳みそだけで考えると、どうしても考えの幅が狭くなるから、考えたことを誰かにぶつけて、それが返ってきて……つまり世の中と壁打ちをする。こういうことを繰り返す習慣が大切だなと。

ウェブ上に書くと、賛否はともかく、必ず誰かが意見を言ってくれますから。それに、ひとりで抱え込んで悩んでも、ろくなことがないので。

――ひとりで考える時間は、それほど必要ないでしょうか。

もちろん、「悩む」っていうフェーズを作らないと出てこないものもいっぱいあると思います。天才を万力でキリキリとしめつけることで出てくる「ストレスの雫」みたいなものは絶対にある。

それはそれで間違いなく価値があるんですけど、だいたいのものは、考えをいったんアウトプットして、世の中と壁打ちすることによっておもしろさが生まれてくる気がします。