初日に食材が足りず売り切れを出してしまう

幸い多くの人が訪れ、店は賑わいました。しかしオペレーションがうまく機能せず、ファストフード店なのに何十分もお待たせしたばかりか、食材が大幅に足りず、早々に売り切れてしまったのです。2日目、3日目も同様でした。

仕入れはベテランスタッフが担当していました。なぜこんなにも読み違えてしまったのか、「プロなのになぜなんだろう」と疑問に感じました。最盛期の400店舗には比べようもありませんが、全国に30店舗以上(当時)あったハンバーガーチェーンで10年以上経験された方たちが、初日とはいえこれだけの読み違いをしてしまう。その状況に驚きました。期待されていた商品を提供できず、大切な初日にお客様の信頼を裏切ってしまったのです。

せっかく来てくださったのに「売り切れです」と聞いて残念そうな顔になってしまうお客様を見ていて、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

発注締切を失念する大失敗!

店長業務は、今まで仕事をしてきて初めて体力的に辛いと感じました。仕事が、というよりは墨田区から厚木市までの通勤が辛かったのです。店舗の営業時間は朝8時から夜11時まで。シフト制でしたが、ついつい私は残業してしまい、そうなると往復4時間かかる通勤時間がさらに辛く感じられました。

店舗運営は居酒屋時代とは違うことも多々ありましたが、お客様に安心安全で美味しいものをお出しして、明るい接客をする。その基本は変わりません。

とはいえ、慣れるまで戸惑ったこともありました。一番大変だったのは、食材の発注です。仕入れには自社システムを使っていて、食材は使いたい日の2日前に、見込みの数をたてて発注することになっていました。

居酒屋時代は毎日開店前に自分で食材を買いに行って、その日のおすすめメニューを考えていました。運営方法がまるで違うのです。

厚木店の場合は、食材は月水金が発注日、バンズは毎日発注で毎日届いていました。でも、ある日、バタバタしていて4時の発注締切を失念してしまいました。気がついて泣きそうになったことが2回ほどあります。大失敗ですよね。

その時は幸い、まわりの店舗に助けてもらい、ことなきをえました。

この時は、連続して3店舗開店する予定で、厚木店はその最初の店舗でした。開店初日の出来事や、原価や人件費の割り振り、スタッフ教育など店舗運営のいろはをベテラン社員に教わりながら、会社として新店を出すのは時期尚早だったのではないかと感じました。

まだ組織の足腰が弱く、筋肉が足りない状態だと思ったのです。