藤﨑忍さんが、夫の選挙落選と病気のため働き始めたのが39歳のとき。109のショップ店長として実績を残したあと、新橋で居酒屋を2店舗経営していました。仲間に店を託してドムドムに入社し、たった9カ月でドムドムの社長になるまでの道のりとは――。

※本稿は、藤﨑忍『ドムドムの逆襲』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

新店舗での苦い思い出

11月に入社すると、引き続き商品開発と、そのほかに接客のトレーニングマネージャーをして欲しいと打診を受けました。そこで接客について現場で学ぶために、12月に神奈川県厚木市に新しくオープンする店の店長を任されることになりました。

ドムドムフードサービス 藤﨑忍社長
ドムドムフードサービス 藤﨑忍社長(撮影=ホンゴユウジ)

テナント契約などはすでに終わっていて、私は新店で店長としての実務を担います。学生時代に少しだけハンバーガーショップでアルバイトしたことはありましたが、正式なスタッフとして、しかも店長として働くのは初めてです。

グランドメニューのリニューアル作業は11月にピークを迎え、すでに終わっていました。

まずは厚木店の開店前に、別店舗で2~3週間にわたり、オペレーションを学びました。

本社の会議などもこなしながら、現場で厨房作業や接客スキル、クリンネスなどについてアルバイト店長さんに指導してもらい、身につけていきました。

とはいえ、まだ不慣れな私がいきなり新店を1人で切り盛りはできません。当面は店長経験者などベテラン社員にサポートしてもらいながら運営していくこととなりました。

絶対ドムドムを再生させたい

まだ正式な社員になる前に藤﨑さんが開発した新商品「手作り厚焼きたまごバーガー」
まだ正式な社員になる前に藤﨑さんが開発した新商品「手作り厚焼きたまごバーガー」(写真=『ドムドムの逆襲』より)

そうして迎えた厚木店オープンの日。まず、お客様がどれくらいいらっしゃるのか、ドムドムハンバーガーとしては数年ぶりの新店でしたので、参考にできるデータがありません。立地選定に加わっていればある程度、状況が読めたかもしれませんが、土地勘がまるでない厚木の新店です。どれだけ人が集まるのか見当がつきませんでした。

不安と期待を持って迎えた一番目のお客様は、小学校からの同級生でした。自動ドア越しに並んでいる姿を見つけ、胸が熱くなりました。行列の中に、のりちゃんの姿も見つけました。家族も次々と駆けつけてくれました。応援されることによって人は頑張れるものです。絶対にドムドムハンバーガーを再生させたいと、私は心から思いました。