実は、米も小麦も精製されていなければ重要なクロム源となる食品だ。それがひとたび精製されて白米、白い小麦粉になると、クロムも他の栄養素も含まないエンプティーカロリー=単純炭水化物に変身してしまう。単純炭水化物になった穀類は、白い砂糖と同じ働きを体内で起こすので、やはり摂取してはいけないのだ。
なぜ血糖値を急に上げるとよくないのか
「白い悪魔の三兄弟」を摂ってはいけない理由は他にもある。「白い悪魔の三兄弟」は消化がよく、短時間での吸収の度合いが激しいため、食べた瞬間、あっと言う間に血糖値を上げてしまうからだ。
なぜ、血糖値を急に上げるといけないのだろうか。
食糧が豊富ではなく、常に飢餓との戦いだった人類の長い歴史のなかで、穀物を精製して食べるようになったのも、白い砂糖を常食するようになったのも、つい最近のことだ。血糖値を急激に上げるような食べ方をしてこなかったのだから、人間の身体はそのような贅沢な状態になるのを想定したことがないのだ。
だから、人間の身体には血糖値が急激に上がったときに対応するシステムがまったく備わっていない。インスリンが分泌されて血糖値を下げると言うが、あくまでもそれは緊急避難的な措置であって、インスリンは本来そのような使い方をされるべきものではない。
しかも、急激に血糖値が上がると急激にインスリンが出て急激に血糖値を下げることになる。しかしそれは、本来的に備わっているシステムではないため、うまくコントロールできず、時に血糖値を異常なまでに下げ過ぎてしまうことになる。
うつ病と似た精神状態に陥ってしまう
血糖値が下がり過ぎた状態が続くと、心拍も呼吸も停止して死に至ってしまうのだから、今度は慌てて血糖値を上げようとする。すると、身体を守るためにアドレナリン、ノルアドレナリンというホルモンが副腎皮質から出てくるのだ。
ちなみに、インスリンを出す膵臓は、他の臓器が内分泌か外分泌、どちらかに属するのに、唯一、両方の機能を持つ特殊な臓器だ。血中にインスリンをはじめとするホルモンを出すのは内分泌作用、十二指腸に消化酵素を出すのは外分泌作用。身体のなかでこの両方をやるのは膵臓だけだ。
血糖値の上がり方が緩やかであれば、インスリンも少しずつ出るのだが、上がり方が急だとどこまで上がるかわからないために急激に大量のインスリンが出てしまう。そして血糖値が下がり過ぎると、今度はどうにかして上げようとする作用が起きる。
この相反する作用が繰り返されると血糖値が乱高下し、人間は感情のコントロールが利かなくなる。