3 視界が白く濁る
Q 「目がかすむ」「モヤがかかったように見える」と「視界が白く濁る」は、何が違うんですか?
A 患者さんにうかがうと、それぞれの見え方には違いがあります。「目がかすむ」と訴えるときは、映像の解像度が少し悪くなった状態。「モヤがかかったように見える」という場合は、それよりももっとぼんやりとして見えづらくなっている状態であることが多いようです。「視界が白く濁る」という場合は、その表現の通り視界が白っぽくなっています。
Q 「視界が白く濁る」のは、やはり白内障が多いのでしょうか。
A そうですね、代表的なのは白内障です。でも、白内障以外の病気の可能性もあります。白内障は手術をすれば治るとはいえ、白内障だと決めつけて「手術するまで、このままでいいや」などと放っておかないでほしいです。
Q 白内障以外には、どんな病気が考えられるのですか。
A 高血圧の人は、血管にかかる圧力が高く、眼底にある動脈が硬くなったりくびれたりと変形しがちです。そうやって、もろくなった血管から浸出した成分によって網膜にむくみが生じた場合、白く濁って見えることがあるんです。糖尿病の場合も同様です。血液中にある過剰な糖分が、網膜の血管に内側からダメージを与えることが原因でむくみが起きると、視界が白く濁ります。
重篤な病気が隠されている可能性も
Q ほかにもまだ視界が白く濁る病気はあるのでしょうか。
A それでは、目の表面から奥のほうに向かって、どんな病気の可能性があるか、おさらいを兼ねて順番に説明してみましょうか。
まず、目の表面をおおう“涙の膜”に問題があって、白く濁って見えることがあります。この原因はドライアイです。次に、茶目の部分である虹彩が炎症を起こしている「虹彩炎」の可能性もあります。範囲が広い場合は「ぶどう膜炎」と呼ぶこともあります。
さらにその奥にある、目のレンズ「水晶体」が白く濁るのが白内障ですね。そして、高血圧や糖尿病で網膜に問題が起きたり、緑内障が中心部に進行してきたりしても、白く濁って見えたり暗く見えたりすることがあります。最終的に網膜に届いた光の信号を、脳に送るケーブルの役目を果たす視神経に炎症が起きている「視神経炎」でも視界が白く濁ることがあります。
Q どれも重大な病気なのでしょうか。
A ドライアイと白内障以外は、放っておくと失明に至る可能性があります。やはり「白く見える=白内障」と決めつけないことが肝心ですね。
・「見え方がいつもと違う」「視界が白く濁る」などと感じたら、すぐに眼科を受診。