ネットとの共存のあり方を示す重要な時期だ
放送界にとって、ネットとの共存のあり方は、今や最重要課題といっていい。
NHKは、2020東京オリンピック・パラリンピックに狙いを定めて2020年春にスタートした常時同時配信サービスを、どのように展開していくのか。CM収入との絡みでネット配信を躊躇してきた民放各局が、本腰を入れるのかどうか。まだまだ、いずれもおっかなびっくりの感は否めず、今後の進展も見通せない。
ただ、はっきり言えるのは、放送を従来の延長線上で捉えていては、急速に変わる視聴者のニーズに応えられそうにないということだろう。
ネット社会が深化する中、メディア全体を俯瞰する視点に立って放送をとらえ、中長期のビジョンを組み立てることが求められる。
かつて取り沙汰された「放送と通信の融合」にとどまらず、正面からネットと取り組まねばならないタイミングに来ている。
災い転じて福と為せるか
総務省始まって以来の不祥事は、総務省にも放送界にも大きな禍根を残した。
ただ、大きな曲がり角に立っている放送というメディアを根底から見つめ直すきっかけになるなら、悲観ばかりしていることもない。
これを奇貨として、官民癒着の疑念をもたれないよう襟を正し、透明性のある放送行政を国民目線で進めてもらいたい。
「ネット時代の放送政策」の新たな構築に向けて、災い転じて福と為せるかどうかが試されている。