「総務省接待事件」とは何だったのか
まず、あらためて「総務省接待事件」を振り返ってみる。
2月初め、『週刊文春』の報道で、菅義偉首相の長男・菅正剛氏が勤める放送事業会社「東北新社」が、放送事業の許認可権を握る総務省の幹部4人に対し、繰り返し高額接待をしていたことが発覚。その後、総務省の調査で、放送行政を担当する中軸メンバーが軒並み、国家公務員倫理規程に違反する接待を受けていたことが判明した。
総務省は2月24日、次期事務次官の最有力候補と目されていた谷脇康彦総務審議官(次官級、1984年旧郵政省入省)、吉田真人総務審議官(次官級、1985年同)、大臣官房付に更迭されていた秋本芳徳前情報流通行政局長(1988年同)と湯本博信前官房審議官(情報流通行政局担当、局次長級、1990年同)をはじめ9人を減給や戒告の懲戒処分、2人を総務省内規に基づく訓告などの処分にした。
また、情報流通行政局長や総務審議官を歴任した山田真貴子内閣広報官(1984年同)も菅首相から厳重注意を受け、ほどなく辞職した。
次々露見した「接待漬け」と「官民癒着」
だが、これだけでは終わらなかった。3月になると、総務省の監督下にあるNTTグループから、谷脇康彦氏や巻口英司国際戦略局長(1986年同)ら通信行政を担当する幹部が過剰な接待を受けていた事実が次々に明るみに出て、谷脇氏は辞職した。
さらに、武田良太、高市早苗、野田聖子の歴代総務大臣ら総務省の政務三役とNTTトップとの会食も明らかになった。