親が認知症になったら……。誰もが一度は想像したことがあるでしょう。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんは「認知症と診断された場合、預金口座が凍結され、本人も家族もお金を引き出すことができなくなることが多い」と指摘します。そんなときに備えて今からできる対策とは――。
生活費の厳しさに頭を抱えて落ち込む女性
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認知症になったら預金は引き出せない

もしあなたの親が認知症になったら、どんなことが起きると思いますか? いろいろな不安が頭を巡ると思いますが、大きな問題の1つとして挙げられるのが、「お金」です。

認知症になり、判断力が低下すると、銀行預金を引き出すことはできません。株式などを売買したり、売買などの契約を結んだりすることも、原則的にはできません。

通帳の保管場所や暗証番号などが分からなくなる、ATMの操作が困難になり、預金の出し入れや支払いができないなど、できていたことができなくなることもあります。「それなら、家族の誰かがすればいい」と思いがちですが、そう簡単ではありません。

預金口座を凍結されることが多い

認知症になり、判断能力が低下すると、預金口座は凍結されることが多いのです。そうなると、キャッシュカードを預かって子どもが預金を引き出す、ということもできません。また一定額以上のまとまった金額を引き出したり、定期預金を解約したりしようと本人以外の人が窓口を利用しても、引き出しは不可能なのです。

年金や預金があるのに引き出せない。入院した際、医療費の支払いができない。介護施設に入所することになったものの一時金の準備に困る。そんな事態も考えられます。