客が注文していないのに一方的に商品を送って代金を請求する、送り付け商法。お金をだまし取られる被害が多かったが、改正特定商取引法により7月6日以降、送られたものは即処分OKとなった。これにより一定の歯止めが期待できるが、悪質商法評論家の多田文明氏は「ずる賢い奴らは法改正を、かいくぐってくる恐れがあります」と警鐘を鳴らす。想定できる3つの卑劣な手口とは――。
玄関に宅配業者
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「送り付け商法」対策の改正法をかいくぐる悪い奴らの手口

「送り付け商法」をご存じでしょうか。一方的に、健康食品や海産物、マスクなどの商品を送ってきて代金を請求する、という悪質商法のひとつです。これまで多くの被害者が出ていましたが、7月6日から送り付け行為に関する法改正がなされました。

これまでは送られてきた商品を受け取ってから14日たてば、消費者は自由に処分できることになっていましたが、今後は、送り付けられた商品を直ちに処分できることになったのです。

これは消費者が身を守るうえで、非常に重要な武器となります。今回の法改正の良さは、なんといっても、すぐに商品を処分できるところにあります。

もし商品が送られてくれば、受け取った人は「何の商品だろう」と思って、開封してしまう可能性があります。すると、その中に商品とともに請求書が入っている。

「はて、注文しただろうか?」

特に高齢者になればなるほど、自分が何を注文したか思い出せなくなりがちです。そこで確認しようと、業者に電話をしてしまいます。すると、業者から「あなたから、注文を受けたので、送った」などとうそを言われて、支払うように迫られます。

これまでは、注文した覚えがないにもかかわらず、14日という長きにわたって商品を保管しなければならず、この間に、業者からの催促電話におびえて過ごさなければなりませんでした。なかには、業者からの威圧的な物言いに、根負けしてお金を払わざるえない状況になる人もいました。

ところが、今回の法改正により、商品を受け取ってから処分できるまでのタイムラグが「ゼロ」になった。これは悪質業者からの執拗な電話を受けて、消費者が追い込まれ、不安になる時間がなくなったことを意味しており、とても大きいことなのです。

しかし喜んでばかりもいられません。法改正されたといっても、商品を送り付けるようなずる賢い悪質業者がそう簡単に諦めるとは思えないからです。