「7割にどれだけ近づけるか」に力点が置かれた

本来、この調査は「実態」を把握するために行われたはずだが、霞が関の行動パターンでは、7割という目標にどうやって近づけるか、に力点が置かれた。それを達成しなければ職場の長が問題視されるから、「基準日」だけは何としてもクリアしろ、ということになったのだろう。6割超という数字はどうみても「粉飾」まがいである。

ちなみに同じ調査は蔓延防止等重点措置が発出されていた地方の出先機関でも実施され、そちらのテレワーク実施率は地方で37.1%だったという。調査対象は約18万7000人で、こちらは、検疫や海上保安といった「現場」の多い職場なので、テレワークの実施は困難だというエクスキューズが付いていた。

霞が関では今、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を合言葉に、デジタル庁の創設準備が進んでいる。長年自民党でデジタル化の重要性を主張してきた小林史明衆議院議員は、「DXは、Dつまりデジタル化よりも、X、トランスフォーメーションの方が重要だ」と語る。デジタル化によって仕事のやり方を根本から変えていくことにこそ、DX化やデジタル庁の意義がある。だからこそ、菅義偉首相は「役所の縦割り打破」をデジタル庁創設の理由にしてきたのではないか。

ビデオ会議中の女性と画面
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

本当の意味で「テレワーク」になっているのか

つまり、「テレワーク6割」が、なるべくその日に休暇を取った結果、では意味がないのだ。新型コロナが明ければ元の仕事の仕方に戻ろうというのが霞が関の意識なのだろうか。テレワークと言われた時にどんな仕事の仕方をしているか、本当の意味でテレワークと呼べる水準の仕事になっているのか、それをこの機会に検証しなれば何の意味もない。

行政改革担当相の河野太郎議員は「やる気になったらこれだけできる。これをベースにさらに改善してもう少しやってもらいたい」と会見で述べていたが、これが本当に「テレワーク」の結果だったのかどうか、調べてみる必要がある。河野大臣は抜き打ちでのチェックも行うとしているので、その結果とのギャップが明らかになると実態が見えるだろう。

もちろん、役所のことだから、誰言うとなく抜き打ちの「基準日」を皆が知るところとなり、その日だけ人出が減るということになるのかもしれない。