自分の能力で昇進したと思う男性、誰かのおかげと思う女性

ただし女性の場合、この3つがしっかりできているのに、なお軽視されていると感じることがあります。その原因は「インポスター症候群」です。

インポスター症候群とは、能力や実力があるにもかかわらず、自分を過小評価してしまう心理傾向のこと。男性なら昇進について、「俺に能力があったからだ」で終わるところが、女性の場合は「運がよかったから」「周りのサポートがあったから」と考えてしまう。自分に能力があるように周囲をあざむいているという感覚があることから、インポスター=詐欺師という名前がついています。

運がよかったから管理職になったと思っているので、いつか自分のダメなところが露呈するんじゃないかとビクビクしている。いつも不安を抱えて男性部下からなめられるんじゃないかと思っている。その自信の無さが伝わると、言うことを聞いてくれない、軽視されるというところにつながっていきます。またそんな心理状態でいるときに、たとえば部下から「なんで管理職になれたんですか?」と問われると、「僕は上司として認めていません」と皮肉を言われているような、軽視されているような気がしてしまうという側面もあります。

誉め言葉はそのまま受け取るべし

でも、これは皮肉でも何でもなくて単純な疑問かもしれませんし、どうやってなれたのかアドバイスを求めているのかもしれません。それを皮肉に受け取ってしまうことが、インポスター症候群の症状といえます。

ではインポスター症候群を解消するには、どうしたらよいでしょうか。その第一歩は褒め言葉は素直に受け取ること。「すごいですね」「さすがですね」と褒められたら、「運がよかったから」「みんなのおかげで」と言わずに「ありがとう」と受けとめましょう。

矢印の方向へ走るビジネスパーソンたち
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そのうえで、女性は普段通りにやっていれば、今求められているマネジメントが自然にできます。今求められているマネジメントとは、苦しんでいる部下に共感して「大丈夫?」と声をかけたり、「何か手伝えることはある?」と寄り添ったりすること。今までの男性上司は「俺についてこい」「俺の背中を見て育て」といったスタイルが一般的でしたが、女性上司はそうではありません。こういったスタイルのマネジメントをきれいにできるのは、女性ならではですから、管理職の女性は、自信をもって堂々とやってほしいですね。