まるで、日本では性犯罪が許されているかのようだ

人は変化を恐れる。そう感じたのは、2017年に私がレイプの被害について会見した直後だった。様々な反発が、誹謗中傷などのかたちで私個人に襲いかかってきた。私や事件がどう見られたとしても、会見は刑法改正と性暴力被害者への社会的サポートへの強化を求めるものだった。当時は全都道府県にレイプクライシスセンターがなかったが、21年現在は全都道府県に設置されている。

名古屋高裁前でプラカードと花束を持つ女性たち。性暴力の撲滅を訴える「フラワーデモ」が始まるきっかけの1つになった無罪判決は、この撮影直後に逆転有罪となった。2020年3月、筆者撮影。
名古屋高裁前でプラカードと花束を持つ女性たち。性暴力の撲滅を訴える「フラワーデモ」が始まるきっかけの1つになった無罪判決は、この撮影直後に逆転有罪となった。2020年3月、筆者撮影。

この4年間、多くが変わった。特に日本での性暴力の報道のあり方は変わり、可視化されてこなかった問題がやっと見えるようになってきたと思う。しかし、刑法はいまだ変わっていない。21年3月に横浜地裁川崎支部で強姦罪に問われたケースでは、性的虐待を裁判長が認めたにもかかわらず無罪判決を出した。被害女性が小学生のときから母親の交際相手に性的虐待を受けていたが、被害女性の証言の日時や場所に疑いがあることなどから無罪となった。