義母と「一緒に」新婚生活がスタートした夫婦

実際、母親を擁護しすぎる息子と結婚したために、思いがけない形で離婚にいたった事例もある。

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【CASE】母親を慕いすぎる夫から「出産直前離婚」を言い渡された妻

3年前の結婚を機に仕事を辞めたNさん(28歳)は、現在妊娠中。1歳年上の夫は若手の税理士として親戚の会計事務所を手伝っている。夫の父親は、まだ彼が幼い頃に他界し、母親はひとり息子を“女手ひとつ”で育ててきたという。「義母は、社交的で派手なタイプ。若い頃は、昼は保険外交員として、夜は地元のスナックで働く、パワフルな女性だったと聞いています」と、Nさんは話す。

2人の新婚生活は、新築の二世帯住宅でスタートした。新居となる家屋は「可愛い娘の幸せのためになら」とNさんの両親が頭金を支払った。その際、夫婦ふたりきりで新婚生活をはじめたいと希望したNさんに対し、夫は真っ向から反対。「ずっと苦労かけっぱなしだったから、これからは恩返ししようと決めている」と母親との同居を強固に主張し、Nさんが折れる形で二世帯住宅に住むことを決めたのだった。

結婚後、義母はほぼ毎晩、2階で暮らすNさん夫婦の元を訪れた。

「義母は私が食事の支度をしている間中、手伝いもせず夫と晩酌をしながら仲良く話し込むのが日課。夫もうれしそうに話を聞いている姿を見ていると『2人の世界に私の居場所はない』と感じることもありました」(Nさん)

トマトを切る女性の手元
写真=iStock.com/byryo
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「お義母さんか私か、どちらかを選んで」

嫁姑の間で起こる、日常のささいなトラブルでもすべて母親の肩を持つ夫に、Nさんは怒りを通り越してあきれることもしばしば。「どう考えても私は悪くないことであっても『キミが謝れば済むことじゃない?』『母さんを悲しませないでくれよ』などと言って、夫は取り合ってはくれなかった」とNさん。

Nさんの堪忍袋の緒が切れたきっかけは、「今月から生活費は母さんからもらってよ」という夫からの言葉だった。夫は、無駄な出費を抑えるとともに、生まれてくる子どもの教育費をためる目的で、義母に家計の管理をまかせることをすでに決めていた。大役を担うことになった義母も張り切っているという。

「義母と同居している限り、惨めで窮屈な生活は変わらない」と思ったNさんは悩んだ末、夫に直談判をすることを決意。今の環境を変えるため、子どもが生まれるタイミングで二世帯住宅から引っ越したいと願い出た。今まで我慢してきたことを正直に夫に伝え、「もしも引っ越しができないというなら、お義母さんか私か、どちらかを選ぶしか道はない」と迫った。生まれてくる子どもとの新しい生活を考えたら、さすがに夫も“母親離れ”をする気になるだろうとNさんは考えたのだ。