内閣支持率は政権発足以降、最悪に
日本中から悲鳴が聞こえてくる。
新型コロナウイルス対策が場当たり的だ、ワクチン接種が遅いという批判の声である。
共同通信社が5月15日、16日に行った電話調査では、コロナ対応策を評価しないというのが71.5%、ワクチン接種が遅いというのが85%にもなった。当然ながら菅内閣への不支持率は47.3%と、政権発足以降最多となった。
同じ日に行われた朝日新聞社の世論調査でも、不支持率は47%だから、国民の半分近くが菅内閣を支持していないということになる。
内閣支持率は共同が41.1%、朝日は33%と、まだ3人に1人ぐらい支持者がいるというのが、私には理解できないが、それはひとまず置いておく。
各メディアの世論調査の数字に一喜一憂する菅義偉首相は、支持率浮揚の最後の頼みは、ワクチン接種と東京五輪開催だったが、まず、ワクチン接種で大きく躓いてしまった。
さらに、五輪開催についても、アスリートたちから開催への疑問が噴出してきている。
テニス界からは、大坂なおみが「オリンピックは開催してほしいと思っている」としながらも、「オリンピックが人々を危険にさらすのであれば、(中略)私たちは今すぐに議論すべき」だといった。
錦織圭は自身もコロナ感染した経験を持つため、「オリンピックは死者を出してまで行われることではない」といい切った。
運動会はできないのに五輪はやる不条理
経済界からは、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が米CNNのインタビューで、「日本が今夏に東京五輪を開催するのは自殺行為だ」と語った。先の世論調査でも、五輪中止が共同は59.7%、朝日は「中止」と「再延期」を合わせて83%にもなった。
もはや「東京五輪中止」は大勢になりつつある。だが菅首相や、五輪招致のために「福島第一原発から出ている汚染水はアンダーコントロールされている」と嘘をついてまで開催にこぎつけた安倍晋三前首相も、開催を強行する構えだ。
菅首相の本心は分からないが、答弁で「国民の命と健康を守って」と十何回も繰り返しながら、心ここにあらずという表情や自信のない姿を見ていると、何もかも投げ出してここから逃げ出してしまいたいと考えているように思える。
西日本新聞(5月14日付)が、緊急事態宣言下の福岡で、運動会の中止や延期が相次いでいると報じている。
福岡市内の小学校で、校長が「楽しみにしていた運動会は中止することにしました」と校内放送で告げると、生徒から悲鳴が上がり、「寂しすぎる」と泣きだす児童もいたという。40代の女性教諭は、「なぜ東京五輪はできて運動会はできないのか」と憤ったそうだ。
菅首相はこの教諭や子どもたちに、その違いを分かりやすく明確に説明できるのか。