首長の“抜け駆け接種”が相次ぐ

「自治体の首長らへの新型コロナウイルスワクチンの先行接種が14日、少なくとも北海道、栃木、群馬、茨城、埼玉、神奈川、静岡、三重、岐阜、兵庫、和歌山、佐賀の12道県計20市町村以上で新たに判明した。中には職員を含む100人規模で受けた町も」(スポーツニッポン5月15日付

「埼玉県寄居町の花輪利一郎町長(76)は自身や副町長のほか町職員約100人が『医療従事者等』として一般高齢者に先行して接種したと記者会見で明らかにした。『接種会場で介助している。接種業務の従事者として、町を挙げての一大事業に率先して取り組む必要』と説明した。

また、茨城県大洗町の国井豊町長(55)は、医療従事者向けに届いたワクチンを4月30日に接種した。大洗町によると、国井町長は町消防本部消防長を兼務。消防職員も優先接種の対象とする、町の規定に沿って接種したとしている。

ほかにも、北海道小樽市や礼文町、積丹町、栃木県大田原市、岐阜県山県市、同県北方町、兵庫県高砂市の首長らが医療従事者用や高齢者用の余ったワクチンを接種。静岡県伊豆市や三重県の亀山市と明和町では『危機管理上の判断』としている」(同)

会場を設営したら「医療従事者」?

茨城県城里町の上遠野修町長(42)は会見で、接種したのは4月28日だったと明かした。

26、28日に、町内の医療従事者162人に集団接種するつもりだったが、12人分がキャンセルになり、接種会場の受付などを担当する町職員9人と幹部ら3人に接種したと話した。

上遠野町長のいい分は、「自身が接種会場となる診療所の設置者で医療従事者に準ずる」と主張している。

新型コロナのワクチンと書かれたシールが貼ってある段ボールを受け取る医療従事者
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「兵庫県神河町の山名宗悟町長(62)は集団接種初日に受けていた。山名町長は、朝日新聞の取材に『危機管理を担う立場から接種した。町民に事前に伝えておらず信頼を裏切ったことをおわび申し上げる』と陳謝した。山名町長は、毎週会議などで訪れる病院内での感染リスクを考え、キャンセル分の接種を受けたと説明した」(朝日新聞デジタル5月13日付

兵庫県三田市の森哲男市長(69)は、一般高齢者を対象にした集団接種が始まる前の13日に接種を受けていた。

「市秘書広報課によると、森市長は13日午前、医療従事者向けのワクチンに余りが出たという連絡があり、急きょ接種を受けた。感染で市政運営に支障が出ないようにする危機管理のためだったという。同市では一般高齢者への集団接種は17日からを予定しており、森市長は『時期が早かった点については、慎重に対応するべきだった』」と話しているという」(朝日新聞デジタル5月13日)