「余った先」を想定しないのは首長の責任だ

5月14日の『めざまし8』(フジテレビ系)で、MCの谷原章介がこの問題を取り上げていた。視聴者からネットでアンケートをとった結果、優先接種してもいいという意見が59%で、よくないという41%を上回った。

谷原や一部のコメンテーターは意外そうだったが、私は、この結果を予想していた。小なりといえども市町村の首長は、責任の重大さから鑑みても、優先接種を受ける資格があるし、そうすべきだと思う。

だが、それには前提条件が付く。

コロナ感染拡大を防ぐために最前線に立ち、陣頭指揮をして、コロナに感染している患者たちを直接見舞い、勇気づける行動をするというのなら、ワクチンを優先的に打ってもらうことに何ら恥じることなどない。

市町村の住民たちも納得してこころよく受け入れてくれるはずである。

だが、わが身可愛さから優先接種していた首長が続々出てくるのを見ると、ふざけるなと、怒りで体が震えてくる。

ワクチンが余ったから打ったといった町長がいた。余ったら順番を待っている高齢者に連絡するのが当然ではないのか。

前もってそういう想定をしておかなかったのは、首長の責任である。

それだけではない。愛知県西尾市の近藤芳英副市長が、スギ薬局を展開する「スギホールディングス」の創業者で西尾市に住んでいる杉浦広一会長(70)と妻の昭子(67)の予約枠を優先的に確保するよう担当部署に指示していたことも判明した。

近藤副市長は、「スギ」側がしつこくいってくるので仕方なく、集団接種が始まる5月10日の接種予約を仮押さえするよう便宜を図ったと、会見で話した。

甘い汁を吸う連中は五輪関係者にも

こうした“唾棄すべき”輩はまだまだ出てくる。週刊ポスト(5/28日号)は、大阪府の大阪維新の会の中谷恭典府議が、感染した患者が入院できる確率は10人に1人といわれるのに、「優先入院」できたことに、府民の間から疑問の声が上がっていると報じている。

既得権益という甘い汁を吸う連中は、東京五輪関係者の中にも山ほどいると、やはり週刊ポストが報じている。

万が一東京五輪が開催されれば、バッハIOC会長や各競技団体の幹部たちのために、「The Okura Tokyo」など4つの超高級ホテルを全室リザーブしてあるそうだが、1泊300万円のスイートに泊まっても、IOC側の負担は1泊400ドル(4万3000円程度)までで、後は組織委が負担することになっているという。