10月に予定されていた「東京モーターショー2021」が開催中止となった。モータージャーナリストの鈴木ケンイチさんは「コロナ前から東京モーターショーは苦戦していた。だが、消滅させてはいけない。2019年の大成功に学ぶべきだ」という――。
2019年東京モーターショーの様子
写真=鈴木ケンイチ
2019年東京モーターショーの様子

4月22日、開催中止が発表された

自動車業界の国内最大のイベントは「東京モーターショー」だ。1954年からこれまで46回が実施されている。近年は2年に一度の奇数年開催であり、今年は10月に開催予定だった。しかし、4月22日、主催者の日本自動車工業会(自工会)は、会長会見で今年の東京モーターショーの開催中止を発表した。

その理由は「今回、オンラインも使ったより魅力ある企画を検討してまいりましたが、多くのお客様に、安全・安心な環境で、モビリティの魅力を体感いただけるメインプログラムのご提供が難しいと判断し、開催中止を決定いたしました。」とのこと。端的に言えば、「コロナ禍」で開催できないというわけだ。まさに100年に一度の厄災とも言えるコロナ禍に襲われた東京モーターショー。この先どうなってしまうのだろうか。

コロナ前から「来場者数の減少」が深刻だった

実のところ東京モーターショーの危機は、今に始まったことではない。コロナ禍よりも前に、すでに危機的な状況であったのだ。振り返ってみれば、前回の「東京モーターショー2019」では、輸入車ブランドの大多数が参加を見送った。参加した海外の自動車メーカーは、メルセデス・ベンツとルノー、アルピナだけ。フォルクスワーゲンやBMW、アウディなど、日本での販売上位となるブランドはいなかった。

それ以前から、東京モーターショーは来場者の減少に見舞われていた。そもそも東京モーターショーは、1960年代から2000年代後半まで、毎回100~150万人を集める人気イベントだった。ところが、リーマンショック後の2009年に、来場者が約61万4400人に激減。以降、来場者数は60~90万人で推移しており、前々回の2017年は約77万1200人だった。