トヨタ、パナソニック、シャープ、マツダがどう動くか
NTTは店舗の脱炭素を進めるセブン&アイのために専用の太陽光発電所を新設、20年の長期契約で電力を販売する。NTTはエネルギー子会社のNTTアノードエナジーが千葉県内でセブン&アイ専用の太陽光発電所を2カ所新設、6月から首都圏のセブン‐イレブン40店に電力を供給する。対象の店舗は東京電力などから乗り換える。
NTTは2020年夏に再生エネ事業の拡大を明らかにしてから初の大型契約になる。年1000億円を投じ、小型発電所や蓄電設備を全国に設ける。約7300カ所の電話局も活用する。地域密着型の発電能力を備え、各地の既存電力会社からの乗り換え需要を取り込む考えだ。
セブン&アイは50年までにグループの小売店舗で排出する二酸化炭素(CO2)を実質ゼロにする計画。コンビニが大半を占める全国約2万2000店への再生エネの拡大はその柱となる。
契約を打ち切られる東電もきついが、今回のカルテルで疑惑の上がった中部電や関電、中国電も戦々恐々としている。中部電は地元にトヨタ自動車など多くのメーカーと大口顧客として抱える。関電もパナソニックやシャープなど、中国電力も造船やプラント、マツダなど自動車関連の顧客を持つ。今後、こうした大口の需要家がセブン&アイのような「鞍替え」の動きを強める恐れがあるからだ。
新電力最古参「Fパワー」が負債464億円で経営破綻
2016年にスタートした電力の小売完全自由化の目的は、「総原価方式」に守られていた大手電力の地域独占を打破し、電気料金を引き下げることだった。自由化に伴い、電気料金は各社が自由に決められるようになり、「新電力」のシェアも2割程度まで伸びた。
このため経済産業省の幹部は、今回の中部電などのカルテル疑惑について「電力自由化の根幹を揺るがすきわめて深刻な事案」と厳しい口調で話す。本来なら今回の事案をきっかけに新電力の伸長を促し、自由化を一段と進めたいところだが、その思惑に水を差す出来事も起きた。新電力大手のF-Power(Fパワー)の経営破綻だ。
Fパワーは3月24日、東京地裁に会社更生法を申請した。負債総額は21年に入り最大の464億円だった。16年4月に破産した日本ロジテック協同組合の負債163億円の約3倍に達する新電力最大の倒産となった。