理由③:新型コロナの後遺症は保障対象外である

新型コロナウイルスに関してはまだ分かっていないことが多く、そのことが不安を大きくさせるのかもしれません。退院後も長期間にわたってせきや呼吸困難、倦怠けんたい感、脱毛などの後遺症に悩む人が多いとも言われています。

現在販売されているコロナ保険と称されるものには、通常の医療保障に特約として新型コロナウイルス感染症等の保障を付加するタイプと、入院を要件とせず、新型コロナウイルス感染症等にかかったと医師に診断されたときに一時金を支払うタイプがあります。

医療特約や医療保険は入院することが給付の要件ですから、新型コロナウイルス感染症であろうとそれ以外の病気やケガであろうと、治療のために入院をすれば給付対象となるのは前述したとおりです。

しかし、新型コロナウイルス感染症の後遺症は、日常生活に支障が出るほどのつらさを抱える状態でありながら、入院をしないケースがほとんどです。仕事をやめざるを得ないケースもあり、周囲の無理解に悩む人が多いようです。

そのような場合、コロナ保険でも従来の医療保険でもカバーできません。たとえ入院を要件としないタイプのコロナ保険であっても、新型コロナウイルス感染症に罹患りかんしていない状態なので給付は受けられません。

また、新型コロナウイルス感染をきっかけに、別の疾患を発症する可能性もあると言われています。そのような場合、入院治療であれば通常の医療保険等から保障されますが、コロナ保険(特約)からの給付はありません。

保険でカバーするべき経済的リスクとは

経済的リスクへの備え方には、貯蓄と保険加入の二つの方法があります。発生確率は低いけれど、ひとたび起こってしまうと多大な経済的損失を被る可能性があり、自前の貯蓄ではカバーできないリスクに対処するには、保険料というコストを払って保険に加入するのが合理的です。

例えば、地震や土砂崩れ、火災などによって住まいを失うと、新たな住まいを確保するには高額の費用が掛かります。そのようなリスクに備えて、火災保険や地震保険に加入するというのが分かりやすいでしょう。

これまで述べてきたように、新型コロナウイルス感染症の経済的リスクをカバーする手段として、保険に加入するという選択は合理的とはいえません。コロナ保険に加入したからといって、新型コロナウイルス感染症を予防することはできません。

コロナ保険の加入を考えている人は、どのような不安を解消するためにコロナ保険に加入しようとしているのか、その不安はコロナ保険に加入することで実際に解消できるのか、費用対効果はどうなのか、すでに加入している保険でカバーできないのかといったことを多角的に検討してみてください。

(※1)感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
(※2)国立感染症研究所 新型コロナウイルス感染症における積極的疫学調査の結果について(第2回)(2020年10月5日時点:暫定)
(※3)データを小さい順に並べたときにちょうど真ん中に来る値

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