別れても親だというコンセンサス

「翌2017年には子供が生まれました。親になって初めて、親としての喜びと苦労を知ることができました。そして改めて思いました。母親だけでなく、父親も子供と向き合おうとしていたんだと。父親にしろ、母親に強く当たった祖母にしろ、限られた情報、当時の常識の中で判断して、頑張っていただけです。不器用だったんです」

彼は、父親と和解。議員を志す彼を、応援してくれているというのだ。

和解しているといってもやはり原因は父親ではないのか。父親が邪魔しなければ、母親との縁は21年も切れなかったのではないか。もっとはやく会えたのではないか。

「“離婚したら親子の縁が切れるもの”だと思っていたので、子どもの頃は別れた母親に会いに行こうとする行為すら悪いことだと考えていたんでしょうね。そんな少年時代を過ごしていたからか、成人してからも母親を探そうとすらしませんでしたし、長すぎる別居生活の中で自分の中の母親という存在がよくわからなくなっていました。離婚前後のゴタゴタが嫌な記憶だったので、無意識のうちにフタをしていたのかもしれません」

別れていても一緒に育てるというのが諸外国同様、社会の常識となっていれば、母と生き別れになっていなかったのではないか。

「過去は変えられません。それに、自分の思うとおり、人を変えることもできません。でも、未来は変えることができます。今後、別れても両方の親が子供の成長に関わっていけるような未来にしていきたいです」

親子の別離を法的に考えると

最後に聞いた。母親と再会することにどういう意味があったのかと。

「あの時の母親を分断するような発言に改めて謝れたことそれは良かったです。お母さんごめんって言えましたから。だけど申し訳なかったって今もずっと思っています」

竹村さんは、つらい過去と向き合い、そして明るい未来を作り出そうとしている。

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こうした親子の別離を放置したままでいいのか。別居親を支援している弁護士の松野絵里子さんに、法的な観点について聞いた。

――離婚後、同居親の意向で、子供が別居親と会えなくなるケース。これは子供の権利を侵害していませんか?

子供の人格権の侵害にあたります。こうしたことがなぜ起こるのか。それは日本の離婚のほとんどが協議離婚で決まってしまうからです。離婚時にきちんと取り決めをするべきですが何も決めずに別れるケースが実際は大多数ですから。子供と別居している親は、同居親のいう通りにするしかなくて、親子の縁を諦めてしまうことがままあります。

――日本における子供の権利は弱すぎるのではないですか?

未成年の子供は親の庇護の元、暮らしている訳ですから、親よりもさらに立場が弱くなりますよね。そうして人格権がいとも簡単に侵害されてしまうのです。竹村家が離婚した1994年当時、民法766条に「面会交流」の項目はありませんでした。なのでなおさら子供が別居親と会うことが困難でした。

――では今後、どのようにしていくべきでしょうか?

別居時から司法介入をして司法が子供の権利を守ること、協議離婚においても同じく司法が子供の権利を守るチェックをする法整備が必要だと思います。個人的には離婚後の共同親権制度を法改正で可能にするべきだと思います。

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