患者数が2100万人を超えて糖尿病以上に多くなっている「新・国民病」がある。「慢性腎臓病(CKD)」だ。発症すると様々な病気の死亡率が平均4倍に上昇し、新型コロナをはじめウイルス感染症の悪化リスクも高まる。一度人工透析になれば、一生やめられない。「実は、人間ドックや健康診断では予兆を捉えることができないのです。働き盛り世代は一刻も早く対策が必要」と、20万人の患者を診た牧田善二医師が警鐘を鳴らす──。(第1回/全6回)

※本稿は、牧田善二『医者が教える最強の解毒術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

健康診断で、だんだん「異常値」が出てきていませんか?

「若い頃は問題なかった血圧が、だんだん高くなってきた」
「血糖値が高めで、糖尿病予備軍だと指摘された」
「ダイエットをしようと思っているけれど、体重は増える一方だ」

コレステロール値や尿酸値の異常など、あなたが働き盛りの世代なら、健康診断でなにかしら指摘され始めているのではないでしょうか。そして、「でも、たいした自覚症状があるわけでもないし……」と、対処を先延ばしにしているかもしれません。

たしかにがんのような病気と違い、ここに挙げたような症状が命に直結することはありません。では、あなたは自分の健康について、今のままの状態を続けていていいのでしょうか。

絶対に「否」です。

横っ腹を抑える男性
写真=iStock.com/ljubaphoto
※写真はイメージです

気づかぬうちに手遅れになる恐ろしい病

実は、一般的な健康診断では見落とされるのが「腎臓」で、そのために、毎年4万人もの人たちが人工透析になり、年間3万人が命を落としています。

さらに、腎臓が悪いと心筋梗塞しんきんこうそく、脳卒中、がんの発症率が上がり、その進行を早め、早死にすることがわかっています。また、高血圧や糖尿病、肥満などがあれば、腎臓がどんどん悪くなることも証明されています。

牧田善二『医者が教える最強の解毒術』(プレジデント社)
牧田善二『医者が教える最強の解毒術』(プレジデント社)

現在、日本には「慢性腎臓病」という、気づかぬうちに腎臓を悪くした人が2100万人もいます。ところが、多くの医師はその脅威を知らず、健康診断でも正しく調べられることがありません。そのため、早期発見が叶わず、みんな手遅れになっているのです。

一方で、ごく簡単な検査で早期発見すれば、確実に治すことができます。

後者であれば、70歳を過ぎてもばりばり働いて、趣味や遊びも最高に楽しんで、100歳まで悠々ゆうゆうと生きられる体を手にしているでしょう。しかし、前者に留まったならば、10年も経たないうちに体内の毒を排出する腎臓の機能がもたなくなり、病院通いが日課となり、仕事も辞めざるを得ない状況に追い込まれ、果ては短命に終わる可能性大です。

選ぶべき答えは明確なはずの二者択一で、おおかたの人が間違った道に進んでいる──。そんな現状をなんとか変えたくて、私は今回『医者が教える最強の解毒術』を書きました。