テドロス事務局長「まだ新型コロナの発生源は特定されていない」
日本や欧米、韓国など14カ国は、WHOの報告書に対し「懸念を表明する。調査が大幅に遅らされ、元のデータや検体の入手を欠いた」との共同声明を発表した。
繰り返すが、報告書はかなり早い段階からウイルスが武漢市内で広まっていた可能性を重視し、中国が発生源となった可能性も排除はしていない。
WHOのテドロス・アダノム事務局長も「中国がウイルスの発祥地」との見方を捨ててはいないようだ。テドロス氏は報告書が公表された30日、加盟国・地域向けの説明会を開き、調査団が「中国当局から生データの入手できず、かなり苦労した」と話した後、報告書が武漢ウイルス研究所からの流出は「極めて考えにくい」としたことに触れ、「さらなる調査が必要だ」と語った。
説明会の中でテドロス氏は「確実な結論を得るにはより多くのデータや調査、研究が必要だ。今回の報告書は初めの一歩に過ぎず、これで終わりではない。まだ新型コロナの発生源は特定されていない」とも述べ、今後、調査団を再び派遣する用意があることを明らかにした。
中国の後押しで事務局長に選ばれている人物
テドロス氏の発言はもっともらしいが、まともに受け取ることはできない。なぜなら2月16日付の記事<WHOの「中国・武漢コロナ調査」はまったく信用できない>でも触れたように、彼は新型コロナの発生当初、中国寄りの発言や行動を繰り返し、日本やアメリカなどから厳しく批判されていたからだ。
テドロス氏は中国と親密な関係にあるアフリカ・エチオピアの出身で、中国の後押しで事務局長に選ばれている。習近平国家主席にも直接面会できるほど、信頼されている。
中国と対立する欧米や日本にとって「テドロス氏は要注意人物だ」といっても過言ではない。