「中国の介入許し信頼を損ねた」と読売社説
4月3日付の読売新聞の社説は「報告書の共同執筆という形で中国の介入を許したことで、調査や分析の信頼性が損なわれたのは明らかである。世界保健機関(WHO)の存在意義が改めて問われよう」と書き出す。見出しも「WHO報告書 中国の介入許し信頼を損ねた」である。
それにしてもWHOはなぜ、中国との共同執筆を認めたのか。国際機関の中立性と倫理が失われている。
読売社説は指摘する。
「調査や報告書の作成は、当初から中国政府の強い影響を受けており、中国の主張に沿う結論が導き出されるのは予想されていた」
「現地調査や報告書の公表は予定より大幅にずれ込んだ。中国に注文を付けられ、調整が難航したためだろう」
あの習近平国家主席の率いる強引極まりない中国のことである。手を替え品を替えWHOを脅し、主張を押し通そうとしたのだろう。
WHOは権限の弱さから中国の言い分を認めざるを得なかった
後半で読売社説は「中国は、国際社会の厳しい視線を重く受け止めねばならない。自国が発生源ではないと主張するのなら、調査に協力し、データを差し出すべきではないか」と主張する。
まったくその通りで、正面からWHOに協力して大国の存在をしっかりと示すべきだ。
WHOは自らの権限が弱いゆえに、中国の言い分を認めざるを得なかった面があったのだろう。
読売社説も最後にこう主張している。
「こうした事態の再発を防ぎ、新たな感染症の流行に効果的に対処するには、WHOの透明性と信頼性を高める改革が必要だ」
「欧州連合(EU)は、感染症に関する情報共有やワクチンの確保で、国際連携を強化するための新たな条約の必要性を訴えている。WHOの権限の弱さを補完する枠組み作りを急がねばならない」
日本や欧米諸国は協力して中国に対抗し、WHOの改革を進めるべきである。