自分自身が説明する内容をわかっていないことも…
次に、2つ目の原因である「そもそも自分自身が内容をよく理解していない」についてお話ししていきます。
元も子もない話ですが、説明する本人がその内容についてちゃんとわかっていないケースです。
「えっ、説明する側がちゃんとわかっていないことってあるの?」――そう思われる方もいるかもしれませんが、実際にはけっこうあるのです。
説明する側が、話している途中で、「あれ? これって、そもそもなんでだっけ?」――そんなことが頭をよぎったり、そもそもそういったことすらも思わないでテキトーな理解のまま説明したりしてしまうことがあります。
恥ずかしい話、私も講師として駆け出しの頃は、けっこうな頻度で自分の理解不足から生徒に迷惑をかけてしまったことがありました。当たり前のことではあるのですが、説明する側がしっかりわかっていないことは、相手にちゃんとわかってもらうことは不可能です。
話し手が腑に落ちていなければ相手に刺さらない
つまり、自分が深くまで理解しているからこそ、相手にしっかりわからせることができるのです。
予備校も含め、教育の世界では、「1」を教えるためには「10」まで知っておかなければならないとよくいわれるのですが、それは本当にその通り。
話し手自身がしっくりきていないことや腑に落ちていないものは、どんなに頑張って説明しようとしても、相手に突き刺さることはありません。そのため、説明する側は、事前に頭の中でシミュレーションを済ませておく必要があります。その説明で自分がしっくりくるかどうかを考えてから説明を始めるようにしなければなりません。
できれば実際に声に出して、自分の耳で自分の説明を聴いてみることをお勧めします。声に出してみると、案外違った感じで聞こえるものです。この方法は、思っている以上に簡単で効果的です。