幼少期から極端に口数が少なかったという放送作家の渡辺龍太さん。アメリカ留学でインプロ(即興力)を学んだことがきっかけで大きく変わり、今ではプロ芸人向けのアドリブ講座で講師を務めるほどに。そんな渡辺さんが「地味な人ほど効果が期待できる」と話す、おもしろい話をするコツとは――。
※本稿は、渡辺龍太『おもしろい話「すぐできる」コツ』(PHP)の一部を再編集したものです。
笑いはどんなときに起きるか
笑いとは、どのようなときに発生するのでしょうか。私はよくカツラがズレた70歳の社長の事例で説明します。カツラがズレるという異常事態が起きているにも関わらず通常通り真面目に話続けている社長です。この人の場合は、偶然のアクシデントで笑いが発生しています。
つまり笑いとは、どうであれ「異常なことが、あたかも普通に行われる」という現象さえ起こればいいだけです。もちろん、カツラがズレるというような、恥ずかしいアクシデントの場合もあります。しかし、単純に自分の趣味を語ったら、それがなぜかウケたというようなこともあるはずです。
「自分のことを語ったらなぜかウケた」にヒントがある
実は、その「自分について語った時になぜかウケた」という現象こそ、一般の人が「おもしろい話」をする上で一番重要な部分です。とはいえ、多くの人は会話の中で、自分が意図していないにもかかわらず笑いが発生すると、笑われているような気がして不安になります。人によっては、「え、私、なんかおかしい⁉」と、恥ずかしいアクシデントが起きてしまったような感覚になってしまうかもしれません。
しかし、安心してください!
ある「たった1つのこと」を理解するだけで、「自分について語った時になぜかウケる」という感覚が、再現性のあることとして感じられるはずです。